国際保健協力フィールドワークフェローシップに参加して
後藤 泉(筑波大学医学専門学群5年)
このフィールドワークフェローシップに応募した動機は、フィリピンの保健医療の現状とJICAやWHOの活動を自分の目で見て確かめ、将来自分がどのような形で国際保健医療協力に関われるかを考察したいということだった。また学生が何をできるのか、何を学ぶべきなのかについても考え、今後の学習と活動に役立てたいと思っていた。
国内研修と国外研修を通じて、フィリピンの保健医療のおおまかな流れや、そこにJICA・ WHOがどのように関わっているかについて、理解できたと思う。しかし、自分が将来どのような形で国際保健医療に関わりたいのかについては答えが出なかったが、そんなにあせる必要も無いということもわかった。学生が今すぐ途上国でできることはないのである。卒業したての医師でも途上国に持っていけるような技術はほとんど身につけていないのである。WHOのDr.Omiは国際保健医療の仕事をするために必要なことは専門性、語学力、人柄とおっしゃっていた。保健医療の1つの分野で専門性(技術)を身につけるのはもちろん時間のかかることだが、Dr.Omiは語学(英語)に関しても1日30分や1時間でよいから新聞・雑誌・本などを読み、10年かけて語学力を蓄積していくことを奨められた。人柄についても、「顔が見えない日本人」から脱皮し、周りとの調和を保ちながら自分の意見をはっきり言えるようになるには私自身もっと多くの経験が必要だと感じた。とにかく国際保健医療に関わるまでには学ばなければならないこと、積み重ねなければならない経験がまだたくさんあることを知った。
WHOのDr.Hanは国際協力で重要なこととして、その国の人々を愛すること、援助するのではなくパートナーとして協力し合うこと、相手の立場に立って考えることを挙げていた。わかっているつもりだったが、これらのことは医師としての専門性を身につけていく課程でも忘れないようにしなければならないと思った。
フィリピンの人々は明るくおおらかで優しく、時間には少々ルーズだが倫理的にはまじめだと思った。Cebu Doctorsの医学生のGreg、Jasonとその友達、またセブで出会った助産婦やOLの女の子たちとはすばらしい思い出ができた。彼らの人柄にふれ、フィリピン人とフィリピンという国が大好きになった。