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フィールドワークに参加して

 

佐々木 智子(岩手医科大学4年)

国際保健協力というものについて講義プリント2,3枚程度の知識しかなかった私にとって、初日から多くのことを学ばなければならなかった。今回参加したメンバーのほとんどは、すでに学生レベルでの国際協力に従事している方で、私は初日からすでに自分の無知さを実感せざるをえなかった。しかし、自分なりにpureな視点からフィールドワークを行ったつもりである。

今回の研修で私は3つの大きなショックを受けた。

1つ目は フィリピンという国から

2つ目は 一緒に行ったメンバー達から

3つ目は バルアさんから である。

1つ目のフィリピンについては、あの活力と熱気である。

フィリピンに行く前は、かなりの偏見を持っていたように思う。何しろ、滞在先がホテルであり、しかもベッドに寝れるとは思いもよらなかったのだから…。

しかし実際のマニラ中心部は、新宿をしのぐほどの近代的なビルが建ち並び、建設中のビルもいたるところにみられる。貧富の差や衛生問題などまだまだ多くの問題を抱えてはいるもののフィリピンは今、急速に成長しているという感じがした。

2つ目のメンバーについて。

私は今まで、本学において、実習をし試験に合格し、いわば無難な生活を送ってきたしそれはそれで良かった。しかし実際、日本中の学生と出会い、それはあまりに生ぬるいものだと実感した。自らの手で国際社会という舞台に踊り出て活躍している。学生という時にだからこそ出来ることを精一杯やっている学生に出会えたことは大いなる刺激となった。私は今回初めてこのような企画に参加したため右も左もわからず自分の意見を言うことは少なかったような気がする。それは1つの反省点でもあるが、同時に同じ年の同じ医学生がここまでがんばっているのだ、私も何かしなくてはという気にさせてくれた。そんなメンバーに感謝したい。

3つ目はバルアさん。

バルアさんはいつもにこにこして上手な日本語でジョークを言っている。わからないところはていねいに解説してくださったり、観光案内もして下さった。とても心が広く、温かい方だと思った。過去には土堀のバイトなどもして学費を貯めたそうだ。そうして苦労し、つらい思いをしたからこそ今のバルアさんがあると思った。何の苦労もなく今の大学で医学を学ぶ私は恵まれていると思うし、一方、人間的にまだまだ未熟だと感じている。

今後、多くの経験を通して、他人の痛みが分かる医師になりたいと思う。

今回、このすばらしい研修に参加する機会を与えて下さったこと、多くの人々と出会えたことに心から感謝する。

 

 

 

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