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フィールドワークフェローシップを終えて

 

李 権二(岐阜大学医学部5年)

12月のはじめの頃だったか、私がいつものように大学の学務の前を歩いていると、掲示板に一枚の募集要項がはられていた。「国際保健協力フィールドワークフェローシップ参加者募集のご案内」。その前文を読むと、国際的、国際視野など、私の心をくすぐる表現でいっぱいではないか。しかも、JICAやWHOの見学、視祭等ができるとのこと。早速応募することにした。

応募した後でわかったことだが、本プログラムの当選倍率は高く、書類選考のみとはいえ、国際保健関連で相当の実績がないと選ばれない。私は群馬大の永井さん(1996年参加)や大阪大の林さん(1996年参加)にそう聞かされていたため、半ばあきらめムードで2月を待った。

実をいうと、本プログラム中はまだ大学の実習が残っていて、「落ちた方が都合がいいや」などと思っていた無欲さが良かったのかも知れない。 2月に届いた結果には、「厳正なる審査の下、あなたは、その中の1人に選ばれました」とあるではないか。とにかく運が良かった。

本プログラムに参加するにあたり、私は次の目標を掲げた。

1 タイ国チェンマイ大学とのエクステェンジの経験から、日本、フィリピン、タイのそれぞれの医療事情の比較。

2 本プログラムにおける成果を、客観的に、正しく後輩に伝える。

何はともあれ旅行の準備。実習担当の先生方に頭を下げ下げ、特別に欠席扱いにしていただいた。こういうとき、学務を通して申し込んだという事実は強い。

いざ、本プログラムを終えて、どれほど目標が達成できたであろうか。 1に関しては、全くと言っていいほど比較対象はできなかった。日本、フィリピン、タイの3国間で、宗教や国民性、使っている言語が違っているのがその主な原因である。少なくとも、医療事情に関して、これら3国を同列に比較するのは危険であろう。

2に関しては、満足のいく結果を出すことができた。まず、私の作成した報告書をメーリングリスト、パソコン通信やインターネットといったあらゆる手段を用い公表したほか、AMSAの国内交流会でもスライドを用いたプレゼンテーションというかたちで報告することができ、大変に好評であった。

研修全体を通して、一番印象に残っているのは、セブで現地の医学生と知り合えたことである。医学部以外の友人を紹介してくれたことは、何物にも代え難い経験となり、とても感謝している。

最後に、このような素晴らしい機会を与えて下さった関係者の方々、ならびに今回行動をともにした学生の皆さんに感謝の言葉を述べたい。夜にみんなで集まって色々勉強会を持ったことや、お酒を飲みながらあれこれ語り合ったことも、忘れ難い思い出である。普段の大学生活では決して味わうことのできない経験を、同じ志を持った仲間と共有できたことは私の一生の財産となるに違いない。

 

 

 

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