Dr.Hanは韓国人で占領下の朝鮮半島で教育を受けたせいもあって、大変日本語がうまい。この日、各先生方にご挨拶をするのは私の役目であったので、最近習っている韓国語でご挨拶をさせていただいた。ハン先生は、おっ、といった表情で私を一瞥した。
せっかくWHOへ来たのだから、ということもあって講義は英語で成されたが、質疑応答は日本語でお話しされたので、実に打ち解けた雰囲気であつた。ハン先生はコミュニケーションの能力を高めること、協調精神をもつことを強調していらっしゃった。
JICAでは宿野部氏のフィリピンの政情についての話がとてもおもしろかった。フィリピンを別の角度から学ぶことができたからである。政治、経済情勢から見るという視点も医療協力には不可欠である。つまり、医療協力には、個人個人のつながりを越え、大局的な視野が必要である。今日は、今まで私が考えてきた医療協力を根底から見つめ直す良い機会となった。それでもやはり、草の根の医療協力が基本にあるような気がしてならない。
(李 権二)