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小児死因としては、気管支肺炎、下痢などである。現状では、罹患率の高い疾患と死亡率の高い疾患で予防しうるもの、プロジェクトが可能なものを中心に実施している。その、キ―ワードになるのは、病因であり、喫煙、生活習慣、工業化による環境汚染、下水などの環境整備の不備、経済的理由による受診不備、栄養状態の低下などがあげられる。

管轄地域の対策としては、上記の病因にたいするものが主であり、環境整備については、上水処理は行っていないが、井戸水の配管は、町の方では、ほぼ達成されている。トイレの普及についてもトイレ整備66%と着々と実施されていると語っていた。感染症の感受性対策として、予防接種の普及、妊婦管理、家族計画、衛生教育等も積極的に実施するよう勧告し、そのほか栄養管理、生活習慣病対策など幅広く実施するよう心がけている。

結核対策においても、前述の通りの勧告を受け、モデル地域として実施している。また、衛生教育用のポスター・パンフレットなども各管轄BISには、展示してあり、その活動の具体性をおおきく示唆しているものと考えられた。

 

15:00〜 Visiting group report on field visits at the Reference Open Forum

 

結核研究所にてプロジェクトにおける結核診断の実際を視祭した。 ここにある機材は、すべて日本からの援助によるものであり、ここでは、結核菌培養や喀痰顕微鏡検査を中心とした診断を実施している。スメアーは、縦2・、横3・を基準に塗布し、視野内の菌数により、診断するガフキーによるものでは、分類しきれないものが多いため、National standard 0f TB control scaleによる基準にて診断する。この研究所では、医師のトレーニングも実際に行っているという。なお、日本の検査室と同様の精度管理も実施されていた。

オープンフォーラムでは、セブでの公衆衛生プロジェクトの見学にあたって全般的な内容を中心に討論を実施した。ここでは、討論の話題になったものを中心にその制度と公衆衛生プロジェクトとのかかわりについて記していくこととする。

 

1.医療・保健活動において一次施設、二次施設、三次施設と分類されているようにみえるがそれらの関係はどのようなものなのであるか。

・日本の医療圏の考え方とほぼ同じ考え方であるともいえるが、保健活動が医療も担っていると考えると、一次施設はBHSであり、二次施設以降は、診療所やMunicipalityなどバリエーションがあるとも考えられるが、一番重要な点は、患者の経済的問題点である。BHSやMunicipalityは、医療処置を施しても無料となりえるが、病院などは、診療が有料である。従って、初期医療施設はBHSとなることが多いわけである。しかし、重症である場合、病院にかかることが必要であり、診療所・病院数の関係から言って、初期医療施設からの連絡が困難であったり、患者の経済的問題点も絡み合い、現在の医療問題点となっている。

 

 

 

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