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3. Casillon Creek のセメント・ライニングの延長

 

財団からの資金(81,895ペソ)によって1995年6月に着工、完成した約100mのCasilion Creekのセメント溝渠はこの地域の行政・政治関係者に重大な影響を与えた。住血吸虫症対策には中間宿主コントロールが重要であり、それには生態学的(農業土木的)環境改変が恒久的かつ効果的であることが理解され、この島選出の下院議員Enrico B.Aumento氏はセメント溝渠の延長に30万ペソ(120万日本円)を拠出し、さらに数百mのセメント溝渠が出現した。これはフィリピンにおける彼ら自身による住血吸虫症対策を目的とした灌漑水路の最初のセメントライニング溝の出現であった。

 

4. 1998年3月の貝分布調査

 

1997年にはSan Roqueで7例、そしてSan Vicenteで2例の新感染が見出されたので、とくにこの両barangayの従来の貝コロニーとその周辺において貝の再調査を行った。エルニーニョのせいだという昨年来の少雨に続いて乾期に入ってしまったためにほとんどの湿地は干上がりに近い状態であった。従来の貝コロニーに中間宿主貝の生息は見られなかったが、San Vicenteではすでに土埋と水田転換を行ったApao Palawanの南側の湧水点につながる約1,300平方米の沼地(Boncales boggy)と、San RoqueのBunaos palawanの東側約20米に位置する小滲水地(面積約4平方米)から多数の貝が採集された(表18)。両者ともに旧コロニーに隣接しており、これまでに殺貝対策がまったく行われていなかった点が共通していた。2月の調査ではいずれからも住血吸虫感染は認められなかったが、3月にはBoncalesboggyの貝の3.5%(5/141)に感染がみられた。San Roqueでは虫卵陽性者が7例も出たにもかかわらず感染貝が発見されなかったのは、Bunaos以外の貝生息地の存在を示唆しており、さらに探索の要があろう。

一方、3月10日にSan Joseにおいてスタッフ6名を動員して貝の生息地の探索を試みたが、不発に終わった。

 

5. 1998年3月の殺貝作業

 

臨時雇用労務員4名とスタッフ6名によって、3月11日は上記のBoncales boggyの除草とniclosamide 13kgの散布を行った。翌3月12日にBunaos palawanとboggyにおいて除草とniclosamide 2kgの散布を行った。

 

 

 

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