そうすると、今まで環境問題を取り扱っている役所というのは、結構なんです。建設省も農水省も通産省もどこもかしこも環境というのを扱うことは結構なんだが、それがどうも省益みたいな、省の既得権と言ったらいいのか、権益みたいな、そういうふうにとらえていると一元的な行政ができない。一元的な行政ができなければ、一生懸命であっても、その成果は十分なものではないと思います。
だから、環境行政というものを、やっぱり今までの縦割りの行政、縄張りの行政というものを改めていくという観点で、ちょうど行革の時期なんですから、下水まで寄越せと言うと建設省と大げんかになってしまって、なかなかできないことがあるけれども、上水道はせめて考えなければいけない。それから林野でも、少なくとも切って売るというところ以外の山は、やっぱり環境庁が管理していく。そういう体制が必要だと思います。化学物質については、今申し上げたとおりであります。
と同時に、最近、アセスメント法ができました。これは決して十分なものではありません。しかし、公共事業を含めて、それから同時に国がやる仕事を含めて、アセスをちゃんとやる。アセスの条件は、市民参加と、同時にそれに対する情報公開、これが環境行政のバックボーンだと私は思います。大変しんどい思いをしますけれども、やっぱり情報公開と、もう一つは市民参加というものがどこまで担保できるのか。これがアセスのポイントだと思います。しかし、考えてみると、それは単にアセスだけではなくて、日本の政治のあり方全体に考えなければならない問題点ではないだろうかと思う。
幸いに今は環境ということを言わなければ、政治家は選挙にもなかなかしんどいということがあるわけですから、そういうものを利用して考えていかなければならなのだろうと思う。
私は、ナショナル・トラストについて言えば、できればちょうど今、例えばここに国有林のあり方というものがある。里山の問題というものが我々の環境を守る上で重要な要素になってきている。それから日本の歴史というような問題が、昨日、今日の新聞のような形で日程に上ってきている。国民の意識の中に非常に大きく問題になってきた。そういうものをどう残していくかという運動として位置づけなければならないが、うんとでっかいものを残せっと言っても、なかなか金がかかって大変です。今、景気が悪いものですから、なかなか企業はナショナル・トラストの運動に寄付をくれない。あるいは協力してくれない。例外を除けば非常に難しい。だから、地域上で、ほんとに猫の額と言われるようなところでもいいから、残していくような運動というものを組み立てていくことが必要ではないだろうか。
それからもう一つは、地方自治体の積極的なご協力をいただくことが必要ではないか。それには住民の理解と協力がなければ税金を使うわけにはいきませんから、ぜひそういう意味で、皆さんの、今日お集まりいただいたみたいな熱心な方々が、全国でナショナル・トラストというような運動を広げてほしいものだと私は思います。そしてそういう雰囲気がもういっぺん何か出てきているような気がしてなりません。だから、バブルの時代とはちょっと違った趣ですから、その意味では今がチャンスだというふうにも思います。
それから、地方自治体の皆さんもご参加をいただいてるわけですから、これはお願