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ことができるような環境基本法の中で項目を生かすことが必要だと思います。

それから、ちょうど行革の議論が行われていまして、本当は私は、さっき言った12のでっかいビルディングの中の一つなんですから、もうちょっと大きくしてくれないと発言力も弱いし、財政・予算も弱い。環境庁は1000人の体勢であります。さっき言ったように予算は800億です。だから、もうちょっといろんな意味で一元的な行政ができるようにしなければいけないだろうと思って、意見書もいろいろな形で出したりしました。

例えば、皆さんからお話がありました川のこと一つ取り上げてみます。環境庁は水質をあずかってるんです。だけど、水質というのは、そこで測ってみる水質だけではなくて、きれいにするという目標がなければなりません。きれいにするということになれば、川のあり方というものは環境の中で配慮しなきゃいかんし、里山がどうあるべきかという問題も考えなきゃいかんし、もっと水源地である森林のあり方というようなものも考えなきゃいかん。そういう水の系列の中で一元的な行政ができるようにならなければ、私は環境行政とは言いえないと思うのです。一番最後のところの水質だけ責任持てと言われたって、上のほうで汚してることに対して権限がなければ何にも言えません。これは山、川、あるいは湖、あるいは港というようなことに関係があるわけです。

廃棄物だってそうです。廃棄物行政の中心は、今は厚生省です。だけれども、考えてみれば、環境問題と無関係な排出はありません。最近、電気製品などのいわば廃棄物について一定の規制をするという法律を通産省が準備していますけれども、やっぱりリサイクルまで含めた廃棄物行政というものを打ち立てなきゃならん。ところが、これは厚生省であったり、あるところで通産省であったり、あるところでは農水省であったりというような具合の、みんな省益を中心にしてばらばらの行政なんです。これも私は1本にしなければならないだろうと思います。そういう一元化というものが、残念ながら今度の行革では無理です。

それから、私、一番心配なのは化学物質なんです。化学物質は、今、問題になっている、例えばダイオキシンだとかPCBだとかそういうなものにどうも絞られてくる。テトラクロルエチレンとかトリクロルエチレンとかいうようなものに十幾つぐらい、10までいかない。それしかないのかなというくらいの感じです。ところが、アメリカなどで調べたことによれば、有害な化学物質は何万とある。この化学物質に対する規制というようなものが環境庁にはあんまりないんですね。化審法で通産省が全部管理しているというような形のものがある。だから、化学物質だけでも大変な取り組みがいるんです。幸いに水俣病の問題が一つの解決を見ました。したがって、環境庁はその体制を化学物質の方向へシフトしようとしていますけれども、化学物質一つ取り上げてみてもそういう問題点があるわけであります。

だから、今言ったように世の中が、今まで我々が大量生産、大量消費、大量廃棄と言われる生活、あるいは経済のシステムの中にずっぽりはまり込んできたわけですが、これは何とかして変えなければいかんぞという問題意識までは来ているわけですけれども、どのように変えていくのかについて、一つの目標を国際的にも持つ必要がある。同時に国内で日本のあり方というものも、今までの歴史を総括した上で考えなければいけない時が来ている。

 

 

 

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