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そういう配慮というものが行われなかったことはまずかったなと私は思います。

どんなに低くても、絶対にこれは守らなければならないという、そこから積み上げていくという努力のほうが、レベルは高くなった、昨年の数字は高くなったけれども、穴が開いてるっていうんじゃ、永遠に穴が開くことでありますから、私はどうも穴をふさいでいく努力をこれからしなければいけない。そしてそれから1歩でも引いてはいけない、ぎりぎりのところに向かって努力をしなければいけない。

つまりひと言で言えば、IPCCのレポートによれば、かなり厳しいものだということです。しかし、現実にできるという数字がここにある。それとますます開いてきた。それをどうやって近づけていくかという努力をお互いにしなければいけないという感じがしてならないわけであります。

さて、今の炭酸ガス、二酸化炭素の削減と、こういうふうに言う。ところが、二酸化炭素のことを真剣に見ていくとすれば、人口問題と無関係じゃないですね。南北問題と無関係じゃないです。今言った植生のことなどを含めた緑の問題とも無関係じゃないですね。みんな地球上が直面している人口問題、南北問題、自然保護の問題、全部がここに関連し合っていると言えると思います。そのトータルな地球社会とでも言いましょうか、そういうもののあり方をどう問い直していくかということを見直さないと、その部分だけ議論をしてみても問題の解決にはならないと思うわけであります。だから、人間の生き様というか、人間と言うよりも、地球上の生きとし生き続けているすべてのものの生き様みたいなもの、生命、命というようなもののあり方というものを全体として見直さなければいけないということを、最近、しみじみ感じてきました。

だから、ある時、近代社会のあり方というものを問い直さなければいけないと簡単に言う。あるいは市場、あるいは利潤、それを生み出すところの科学、技術、そういうようなもののあり方を問い直さなければいけないとみんなそう言うんです。そう言うけれども、あるいは方針として何かが出たとしても、本当に一人一人の人間のラジカルな生き方みたいなものをどう問い直していくかということと無関係には、実は温暖化問題も解決はないんだというふうにお互いに考えてみる必要があると思います。

だから、実は、これからまだCOP4があり、あるいはCOP5があるかもしれません。うまいこと言った人がいまして、COP3って何だって言ったら、一番分かりやすく言うのは、コップ3杯まではいいと。ウイスキーでも何でも。コップフォー、4杯ということになると飲みすぎて、周りの人に迷惑かけるか、自分の体が調子が悪くなるかどっちかだから、コップスリーでやめたほうがいいというふうに言った人がいたけれども、うまいこと言うものだと思いまして、本当はCOP3のところでもうちょっときちんと我々が生きていく生き様のことも含めた国際的な合意というものができればよかったなというふうには思いますけれども、しかし、コップ3杯ぐらいでやめにゃいかんぞというところまでは来ました。もう1杯飲みたいなというのがあるけれども、ちょっと遠慮しようかなという気持ちのところまでは来たわけですから、そこから先は封をしちゃうというぐらいな気持ちでみんなで頑張っていかなければいけないなと。

とにかく百五十幾つの国々が、いろんな事情を抱えて集まって、そしていろんなことを議論しあったというのはそれなりの意味があったと思います。

 

 

 

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