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ました。

さて、COP3の話です。確かに法的拘束力を持ったものをつくるべきだという議定書ができました。そしてこれから各国がこれを批准をするということになります。そして具体的な取り組みにかかります。率直に言って、あの数値目標というものが十分であるなどとは言えません。私は、IPCCの報告を待つまでもなく、地球環境はかなり深刻な状態になっているということを率直に申し上げざるをえません。そして言ってしまえば、私たちの時代はともかくとしても、私たちの子供や孫の時代に本当に地球環境というものが安全なのかということを問われれば、それに対して安全だなどと答えうる人はいないと思う。そして、ただ、言えることは、今度のCOP3の議定書でも、結局、先送りをしているだけであります。みんな数字のことだけ。私自身もそうなんですが、6%より7%の方がいいといった削減率の数値目標だけに注目をしすぎたきらいがあります。その中身がかなり穴が開いている、しり抜けになっているということについて、どうもあいまい模糊たるものがありました。

例えば森林の問題でもそうです。確かに森林は二酸化炭素を吸収します。だけど、それをどうやって測るのかと言ったら、それの技術的なノウハウはありません。面積で決める以外にない。古い木と新しい木、若い木との間の吸収率というのは違いますね。すると、森林面積で測っていくというようなやり方になる。森林面積で測っていくということになれば、国土の広いところのほうが条件としては有利ですね。というようなもので、この次のCOP4で議論が行われますが、それで本当に地球上の炭酸ガスを減らすということで、それぞれの国ではなくて、地球上全体の炭酸ガスを減らすという目的に合っているだろうか。残念ながら合わない。

それから排出権取引というものがある。つまり低いところはその権利を高いところ、オーバーしているところに売ってよろしいと。空気を売るようなものですね。低いところは高いところへ売っていいということは、高いところはもっと出してもいいっていう理屈になるわけであります。トータルでは減ることではなくて、更に増やしていくという方向に向かっているわけであります。これだってしり抜けだと言われれば、文字通りしり抜けだと言わなければなりません。

それもしかもルールが決まっていません。どこがいったいどのぐらい出していて、幾らでやり取りがあってというようなことは、およそ透明性がありません。それをコントロールしたりマネージをする機関もまだありません。だれが測って、だれがいったい計算するんですか。というようなもので、先送りしてるだけなんです。

でも、まあ、そういう議定書ができたということは、私は私なりに、去年、一昨年、ニューヨーク、そしてジュネーブの会議に参加した人間から見れば、前進したなと、あの時の状況から比べれば、かなり状況はよくなったなというふうに言うことはできると思います。

今みたいなやり取り、もう新聞で、皆さん、ご存じですから、温暖化というもの、そして今度の会議の結果などについてはお分かりのとおりだと思うのですが、今言ったように数値目標だけをちょっとマスコミも僕らも追いすぎたなと。穴が開いている部分について、それをどうふさいでいくかというようなことについて十分な努力、あるいは

 

 

 

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