シング、つまり門を上げたり下げたりすることはできないかなということをお願いを、まさにこれはお願いをしたわけですが、それは駄目でした。
その時にちょっと雑談で、「時にあんたとこの予算、どのぐらい」と聞いたんです。「はあ、1兆円ぐらいです」って言うんだな。我が環境庁は800億です。10分の1以下です。つまり開発のほうに1兆円で、環境を守るほうに800億だと言うつもりはありませんが、その予算の額を見ただけでも、いったい日本の政治の方向がどっちを向いているのかなということもお分かりいただけると思うし、今、そうした環境庁長官の現場視察ということとのかかわりで、環境庁という役所の他の省庁との強い弱いという問題がご理解をいただけるのではないだろうか。ようやく環境省ということになります。なるけれども、12の省庁は集約されて数が減ったわけですから、それぞれのところに仕事が分けられて大きくなります。しかし環境庁、環境省、全く同じです。
だから、私はよく言うんです。新宿の西日のビル街に立派なビルが11できた。環境省っていったら今までとちっとも違わない古びたビルのまま、ちょっと斜めにこんなふうになった、ピサの斜塔みたいに少し寄っかかったような、そんな役所であったとすれば、それはなんぼ大きな声をしてみても立派な新しいビルに対して影響力を持つことは難しい。総合調整という機能を持ったとしても、なかなかその力というものが及ばない。やっぱり開発指向。行政改革後の役所のあり方も開発指向だなと見ても、決してひがめではないという感じがいたしました。これはエピソードの一つです。
もう一つエピソードを申し上げると、これも全然関係のない話を申し上げて恐縮なんですが、COP3の最終日、京都で、実は予定どおり終わらないで、COWという環境大臣会合、小委員会みたいなものですが、ほとんどの国が参加してます。そんなことが長々と開かれているものですから、私はNGOの控室というかたまり場で、隅っこのほうでそっと椅子を並べて、一睡もしないで、明け方になって、少し時間が長くかかるなと、お昼ごろまでかかるなと思ったものですから、7時ごろからウトウトっと寝ました。ひょっと気がついたら、どっかでだれかが議長が東京へ帰るらしいと、不信任案が出るんで、どうしても帰らなきゃいかんらしいというようなことをつぶやいている、話し合っているところをひょっと耳にしました。「どうなの」って言ったら、議長は、国会の内閣不信任案が出るんで、内閣不信任案が出た時は閣僚が全部ひな壇に並ばなきゃいけない。したがって、1人でもひな壇に並ばない人がいると本会議が開けない。したがって、本会議の開会はできないというふうに野党が言っている。やむをえず環境庁長官は、COP3の会合を途中で赤尾大使にゆずって東京にお帰りになると。どうもそれは総理の指示でもあるらしいっていうやり取りがありました。これはえらいっこったなと思いまして、私自身、官邸にすぐ電話を入れて、そして自民党の国会対策委員長、保利君ですが、電話をして、世界中に恥をかくよと。したがって、頭を下げても野党に話をし、お願いをして、大臣はここに残って議長の責任を果たすべきであるということを申し上げました。それは私だけじゃなくて、いろんな方々がその種の努力をなさったようでございますけれども、総理の指示だということだったものですから、私は官邸に直接電話を入れて、そのようなことのないようにというお願いもいたしました。
大木長官は車に乗って京都の駅まで着く寸前でございまして、何とか電車へ乗る直