日本財団 図書館


という対立構造ではなくて、地域の計画というのは、どちらかと言うと開発計画みたいな感じになってしまいますが、その前提に、今申し上げたようなことをどうやって組み込むというか刷り込むかということが重要だと思います。あるいはそれを前提とした上で地域計画をつくるかというところが、もうちょっとうまく仕組みをつくらないといけないのかなと思います。

今、全国総合開発計画の第6次ですか、国土庁がつくろうとしてますが、かなり自然との共生をどう進めるかという点が組み込まれております。そういうことをもっと逆転の発想でいかないと、なかなか国民の方々のご満足も得られないのではないかと思います。

ただ、ちょっと書いておきましたが、一方で自然を保全する、あるいは自然を保護するということが、地域の経済にも貢献する、というのは実は難しいんですけれども、やっぱり地域住民、住んでらっしゃる方の満足にどうやってつなげるか、あるいはできることならば多少なりとも地域の経済にどうリンクさせるかということを考えませんと、自己満足に陥ってしまうし、なかなか地元の方々とともに手を組んでといくことができないということになってしまいます。行政のほうとしても、あるいはいろんなNGOの方の活動を進めるにしても、地元の方の心と懐具合にも、配慮していくということも考えないとうまくいかない時代に来てるんだと思います。

表題が「環境行政からみたナショナル・トラスト運動」ということをいただきまして、あんまり関係ない話をしてきたという気も自分でもいたします。ナショナル・トラストという活動を、全般的な自然保護に関する活動というふうにとらえれさせていただいた上で、お話をさせていただきました。さほどにイギリスのナショナル・トラストというのはすばらしいということをただ申し上げて、そういう活動を礼賛するよりも、目的、あるいはどういうところを対象にしているか、あるいは地域とどういうふうに手を携えているかということこそ学ぶべき点ではないのかなということを強調させていただいて、私の話とさせていただきたいと思います。

大変長い間ありがとうございました。(拍手)

 

司会 菊地前審議官、ありがとうございました。

ただいまのお話の中で、環境行政の中でのナショナル・トラストの関係というのは、お話の始まりで日本ではうまくいかないんじゃないかという雰囲気のスタートだったんで、非常にドキドキしておりました。しかし、100年の歴史を持つところとこれからというところですので、いろいろ学びながらまいりたいと思います。

一つだけ、ナショナル・トラストの運動は自然環境と歴史環境の両方の柱で、総合的な環境の保全を目指しています。そういう意味で、私どもの社団法人日本ナショナル・トラスト協会は、環境庁の認可をいただいておりますが、本来、活動としてはもっと幅広い、省庁の縦割りでないところで活動をしたいなというところもバックにございます。そういう意味では、日本のいろいろな部分を、場合によっては私たち市民の力で声を上げて変えていかなくてはならないこれからの100年かなということを感じました。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION