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て人がいるのに、今、環境省って1000人くらいしかいないんですね。幾つか集めても1500人にもならない弱小省でありますから、これを応援するためにも、バックにそういうNGOの方を含める相当な、古めかしい言葉で言えばいい意味での圧力団体をつくっていかないと環境省は何もできないことにもなりかねません。今申し上げたのは私の考えでありますが、岩垂先生のお話へのつなぎという意味でも申し上げておきたいと思います。

実は、イギリスのナショナル・トラスト事業というのが、大変にうらやましいという話を長々と申し上げたわけでありますが、人の国のことをうらやましいと言っても何も進まないわけでして、日本は日本型でどういうふうに進めていくかというのがほんとの課題なわけです。今、日本も、ちょっと最近の経済はおかしいところも随分出ておりますけれども、経済大国ですから、世界中の自然の保護に対する協力みたいな話も随分求められております。私どもがずっと進めてきた中でも、アジア、アフリカ、随分いろんなことに協力をするようになってきております。ところで地球環境の問題というのを考える時、途上国の問題と先進国の問題と随分違いがあります。そこの違いをまだ乗り越えてないという一つの証左が京都の会議(温暖化防止京都会議)でも出てきてたわけです。途上国のことを考えますと、やっぱり人口の問題と貧困の問題について解決を求めない限り、なかなかそういうところで自然保護とか環境問題というのを言ってもうまく進まないという事例が随分ございます。

だいぶ前に南米のパラグアイという国の、イパカライ湖という、これは有名な歌にもなってる湖というか沼なんですけれども、日本で言うと印旛沼とか手賀沼みたいな感じの沼でした。パラグアイには海がないものですから、そこが国一番のリゾートであったり、代表的な場所になってるんです。そこの水質が大変汚れてきているので、日本で協力して何とかしようということで調査が開始されたわけです。「やっぱり法律がいるんじゃないか」とか、「何か排出の規制もしなきゃいけませんね」とか、「工場からの排水をチェックして取り締まったりする必要もあるんじゃないんですか」とか話をしてる時にほんとに驚いたのは、法律も制度も全部あるんだそうです。だけど守る人がいないというのです。だれも守らんと。これにはもうそれ以上議論のしようがなくて、その上で、じゃ、どうすりゃいいのかなというので随分悩んで、その後も日本から専門家が行ったりして悩み続けてるわけですが、やっぱりそういう点では日本も先進国だなと思います。これだけの人口がいて、これだけ教育的にもまず同じレベルで、懐具合もあんまり違わなくて、そういう国で言えることと、そう言えない国がいっぱいあるということが、この種の仕事をしてると非常によく分かります。

ですから、全般的にもちろん日本というのは恵まれてるわけです。(自然保護の話とちょっと関係なくなりますけれども)今、行政改革とか随分言われておりますが、私が仕事をしてた役所でも、何かやると、建設省だ、農水省だ、通産省だ、もうほんとに縦割りで、それをほぐしながら、何か一つの法律をつくったり制度を動かすのは、実はそれでくたびれちゃうわけですね。そこから先の国民の側というか、そこまで考えてるよりも、まず縦割りをほぐして何かを始めるということが実は一番くたびれ果てて、それは各省庁どこも感じてるわけですから、行政改革、それから省庁再編成を進めること、

 

 

 

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