そこをちょっとあんまり考えちゃうと、3番目の「ナショナル・トラスト活動の将来」と書いてはおきましたが、いったい、じゃ、日本でこういう活動をどうやって展開していったらいいのかというのは、正直言って何をどう話していいのか分からないぐらい悩んでしまうわけです。でも、悩んでちゃ駄目なんで、それぞれが何かをしていかなきゃ何も進まないんです。やっぱりそれぞれの団体、それぞれの個人が自然を、あるいは自分の住んでる周りをどういうふうな環境にしておきたいかというような意識を持って、それがだんだんと広がっていくということが必要に違いないと思います。
「全国レベルの展開」と書きましたが、結局、一番はじめに申し上げましたとおり、ほんとに自然を保護するべき土地というのは、これはやっぱり国が直接持って、国が持ってというのは自然を守ることを仕事にしてるところが持ってやっていかなきゃいけないということがどうしても必要なわけです。それは自然保護というのを厳密に突き詰めれば突き詰めるほど必要だと思いますし、最近、昨年の暮れまで省庁再編成というのが一つのテーマで、今度、環境省に環境庁はなる。別に環境庁が昇格するんではなくて、環境庁というのはいったんなくなるけれども、環境省というものがやっぱり必要なので新しくつくるというふうなご理解をしていただいたほうがいいと思いますが、その中でやはり一つ、私どもも、今申し上げたようなことを何とか達成したいと思って意見を述べてまいりました。つまり、国立公園等の土地は環境省が所管する方が良いのではないか、という点についてであります。結果的にはそこまではたどり着きませんでした。何が不足してたかなと考えてみると、どうしても我々の行政というのは、例えば業界団体がバックにあるわけではありませんし、パワフルな応援団というのはなかなかないものですから、先ほど来申し上げてるような、そういう守るべき自然は環境省、環境庁でちゃんと守れというような国民運動と申しますか、そういうことも一つの国民運動というのもナショナル・トラスト活動の一つの分野として、今後興していかなければいけないのかなと、その時、痛切に感じた覚えがあります。
もちろんその背景としては、地域レベルの活動という、例えば里山であるとか、例えば住宅地の周りの雑木林であるとか、ちっちゃな川であれ、そういうものをひとつひとつ守っていこうという活動というのとセットじゃないと迫力はないわけです。いいところを守れとか、あの種は絶滅の恐れがあるから何とかしろっていうのはもうある程度定着してきてると思います。これからの行政自身も、今申し上げたような底辺をどうやって広げていくか、それを土地というものとどういうふうにセットにしていくかというようなことをテーマにしていかないと、次の新しい展開というのはなかなか難しいのかなというのが率直なところであります。
現在、いろんなナショナル・トラストの活動が進められています。天神崎の活動というあたり、あるいは知床100平米運動とか先駆的だと思います。いろんな主体が、いろんなやり方があると思います。相互に学びつつ、いろんなところで活動が、今、出てきておりますし、それを行政としてどう支援する、あるいはそういう活動母体の方々自身が行政にどういうふうに係わっていただくかというあたりについては、実は教科書がありませんので、そこのあたりを少しづつ、つくり上げていく必要があると思います。
何せ環境俗というのができることになってますが、公共事業関係の役所は何十万人っ