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やって日本で徹底するかというようなのももちろん課題ではありますが、行政的にどうマッチさせるかというのは実は大変な問題です。先ほど申し上げたような土地の問題もあるということが言えると思います。

行政というのは、すごく割り切って考えますと、実は何もかも期待しちゃいけないんですね。例えば生活保護であっても、どっかでラインを決めて、助ける人とそれ以外の人というのを決める。その上で手厚い保護をしたりアフターケアをするというのが行政の考え方なわけです。ですから、何もかもすべてを守るというのは、実は行政にはありえないと私は思います。先ほど申し上げた14%の指定された保護地域を全部国有地するというのも、これはちょっとお金がいくらあってもまず足らないでしょうし、そのあたりの仕切りをするというのが一つの行政の特性です。そこのところを役所のほうは説明しようと思うんですけれども、なかなかそういうところが言えないことも随分あるわけですので、役所の批判も起きてくる一つの原因はそういうところにあると思います。そこを、特に生物多様性の保全というようなことを言う時に、どうやってどこをカバーしていくかについては、やはり国だけじゃなくて、地方との協力ですとか、NGOの方のいろんな活動との協力ですとか、そういうことが今後ますます必要になってくると思います。

 

次に2番目のイギリスのナショナル・トラスト事業の云々というところにいきたいと思いますが、私、実は個人的にはもう20年ぐらい前にイギリスのナショナル・トラストの会員になっております。当時、ライフメンバーというのが、今、随分高いようですけれども、たしか70ポンドぐらいだったと思います。偶然そのころ、イギリスにちょっとの聞いたものですから、その時にメンバーになりました。なんでメンバーになったかと言うと、庭園とかエンタープライズ・ネプチューンの海岸であるとかあちこち見るのに、そのメンバーカードを持ってると便利なものですからメンバーになったわけです。イギリスのナショナル・トラストというのは、ほんとに偉くて、もう20年たっても毎年4回ちゃんと会報は送ってくれますし、総会の資料とか全部送ってくれるんですね。それから毎年公開されてるナショナル・トラストのプロパティーズという、財産目録という、少し分厚い小冊子がありますが、そういうものも毎年送ってくれて、なおかつ会員は増え続け、イギリス最大のプライベートの土地所有者とかという肩書がつくぐらい活発な活動が続いております。実にこれはもう尊敬を通り越したものすごい活動であると私も思っておりますし、それがなんで成立してるのかなということで、そこにちょっと書いておきましたのが、五つほど並べてあるポイントであります。

イギリスというのは、2番目の「土地の制度」と書いてありますが、日本とは土地の財産感覚というところの差が随分あると思います。それと、日本の場合、明治の段階で士農工商がなくなったり、農地解放が戦後あったり、オール中産階級国家と言われてるぐらいですから、特に今はもう華族とか貴族という方はいませんが、イギリスだと、やはりそういう身分制度との関連に基づく土地の制度というのが残っているのです。さすがというか、うーん、違うなと思うことが最近ありました。最近の不幸な事故でありましたが、ダイアナさんの弟さんが、それも自分の敷地が何十エーカーあるとか、その

 

 

 

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