「環境行政からみたナショナル・トラスト運動」
菊地邦雄 前環境庁官房審議官
司会 それでは、次の講義を始めさせていただきたいと思います。次の「環境行政からみたナショナル・トラスト運動」というテーマで講義をいただきますのは菊地邦雄さん。前環境庁官房審議官でいらっしゃいます。菊地さんは自然保護の担当ということで、私どもナショナル・トラスト協会の認可、直接の管理窓口をしてくださっているところです。環境庁の中でも自然保護派という形で有名な方でいらっしゃいます。では、ぜひよろしくお願いいたします。「環境行政からみたナショナル・トラスト運動」、菊地邦雄さんです。どうぞ。(拍手)
菊地 ご紹介いただきました菊地でございます。私、実は昨日付で役所を退職いたしまして、前審議官でございます。ということで、今日は公務員じゃなくなって最初の仕事でありますので、何とかうまくいくといいなと思っておりますが。
ということで、実はほんとは昨日の2時からというところにはまっていたんですが、田村先生に大変ご迷惑をおかけしましたが、本日に、昨日どうしても来られなかったもので変えていただきました。実は、結果は大変悪い場所にはまりまして、私の後が岩垂先生でございまして、この間まで私どもの親分、長官をやっておられまして、おまけに岩垂先生というのは、もう20年来、私どもの自然保護関係、環境全般ですけれども、特に自然保護関係の仕事にご支援をいただいてた大変敬愛する先生でございまして、また、この先生、しゃべるのがうまいんですね。ですから、こんなところで私が前座を務める、まさに前座になると思いますが、後の先生の話はさすがにうまいなというふうに皆さんに思っていただくのも、二、三日前まで役人だった私の務めかもしれんと思っております。
それはそれとして、話が「環境行政からみたナショナル・トラスト運動」ということでございますが、何をお話すればいいのか。
ナショナル・トラスト運動というのを大変熱心に木原先生、惠さん、その他大勢の方々のご努力といいますか、ボランティア精神でやっていらっしゃいます。実は、今日は午前中は家の周りの雪かきをやっておりまして、スーザン・ウィルキンソンさんのお話を聞けなくて誠に残念だったんですけれども、イギリスのナショナル・トラストというのは、これはちょっと日本では考えられないぐらいの活動というか、むしろもうNGOは飛び越えてる活動であります。その名前を日本でどうやって展開するかというのは、ちょっとこれはあまりにも大変というか、正直言うとなかなか難しいなというふうに個人的には思っておりますが、全国にいろんな活動をやってらっしゃる方がいらっしゃいまして、少しずつ育ってきてるというところだとは思います。
ただ、皆さん、いろんな活動もされてらっしゃる方も多いと思いますが、日本の中というのは大変NGOの活動が難しいところであります。いろんな事情があるとは思いますが、非常に日本のこの種の話、自然保護にしろ、自分が役人だったから言うわけではありませんが、大変役所の壁というか、役所が幅広くいろんなことをやっておりますので、なかなかそれに立ち向かうのは事実大変でありますし、後ほどまた少し私見をお話したいと思いますが、日本の私どものずっとやってきた自然保護のお話でも、何せこの日本という国の土地問題ですね。土地所有権と土地の値段の、たまたま最近は少しバ