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江戸時代末期の絵を幾つかご紹介いたします。江戸時代末期、王子料理屋河辺の宴席。東京の王子です。王子の料理屋で対岸の、そのころ、リバーフロントという結構な言葉はなかったんです。だいたいああいう言葉をつくりだすというのは、そうでないから言うんでしょう。見事なリバーフロント、いい河川景観ができて、それと川で遊んでる人を見ながら飲み食いをする。僕が言いたいのは、日本人は川や水との付き合い方は昔から非常にレベルが高かった。自然との共生が、本来、非常に巧みな民族であると私は思いたい。

 

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これは広重の絵ですが、広重が東京の水辺風景をたくさん画いているんです。それを見ますといい水辺です。広重が画きたくなるような水辺空間が江戸には至るところにあったということを申し上げたい。

これは有名な「大はしあたけの夕立」。今の新大橋のあたりですが、広重は隅田川の絵をたくさんかいてます。春夏秋冬の隅田川が広重には出てきますが、そこで重要なことは、必ず人間がいるんです。つまり冬は寒いところを人間が川べりをどういうふうに歩いてるか。これは夕立が来た時にみんながあわててる状況ですね。橋を渡る人が、傘を持ってる人やら持ってなかった人。まさに夕立風景。船頭さんは急にあわてだした。広重は春夏

 

 

 

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