したがって、日本のシステムといたしましても、いろんな機能を1極に集中をいたしまして、そこでいろんなシステムを開発をして、日本の最適なシステムというものを全国に展開をする。例えば公団住宅ですとか、あるいは学校建築とか、あるいは都市公園といったものを見ていただきますと、日本中どこへ行っても同じような建て方になってる。これはそういう余計な設計費とかデザイン料というのはいらないわけですね。東京で一つ一番いいものを開発して、それと同じものをどこでも全国いっぱいつくるということになりますと、余分な金はいりませんから、極めて効率的であるわけです。
先ほど申し上げましたように、日本が貧しい国の中から先進国へ追いつく、そういうことのためにはそのようないろんな工夫をする。こういうことでシステムをつくり上げ、そしてそのこと自体、私は今日まではうまく機能してきたと言えるのではないかと考えます。ところが、先ほど言いましたように、いよいよ先進国の仲間入りをした段階で、そのシステムがうまく機能するかということになりますと、どうもそうはいかないということになってきているのではないか。例えば官僚主導型のシステム、これはお手本がある時に初めて機能するシステムであります。日本も先進国の仲間入りをしましたら、もう手本にするところがなくて、自分自身がいろんな仕組みを考えだして、課題を乗り越えていかなければいけないということになりますと、一部のテクノクラート集団がいろんな情報収集をしたり勉強をしたりして物事を解決する仕組みを開発するといっても、容易なことではありません。そして先進国へ追いつき、追い越すということですと、極めてシンプルな目的があるわけですが、国民自体のいろんな要望というのがそんなシンプルなことではなくて、多元的な価値観を持ってきますので、一層そのような仕組みはうまくいかない。一部の役人がこれがいいと考えたことを、みんなが支持するというようなことにはならないわけであります。そうなりますと、官僚主導の仕組みというのがうまく機能しない。
ではどうしたらいいのか。こういうことになりますと、国民の力も、先進国の仲間入りしているぐらいですから、レベルが上がっていまして、国際的にいろんな活動をしている。そうだとすると、もう国民の主体的な判断に任せるほうがいいのではないか。こういう中で官主導ではなくて民自律というシステムにいろんな仕組みを変えていくということが必要になってくるわけであります。
それから、中央集権のシステムも、先ほど申し上げましたような仕組みではありますが、そうなりますと、中央政府がもう国内の隅々のことまでいろんな調査をして政策を立て、そしてその面倒を見るということをやらなければいけないのですけれども、先進国の仲間入りをしますと、中央政府の仕事はむしろ国際的にどういうことを日本としてやらなければいけないのか。例えば地球環境の問題ですとか、資源エネルギーの問題ですとか、食糧の問題ですとか、いろんなことが、国際的な課題として、問題になります。純然たる国内問題だと考えられていたようなことさえ、国際的な枠組みでないと解決できないということが非常に増えてきております。例えば雇用問題。雇用問題というのは単に我が国だけのことではないかと思いがちですが、決してそうではございません。我が国ももう国際経済の枠組みの中に入ってきておりますから、国際的な失業、あるいは雇用政策ということと連動しながら、我が国でも取り組みをしていかなければいけな