日本財団 図書館


「地方分権のあり方」

 

貝原俊民 兵庫県知事

 

司会 それでは、日程も第2日目の最後の午後の部になりまして、早速始めさせていただきたいと思います。午後の1番目にお話をいただきます貝原俊民様、兵庫県知事でいらっしゃいます。神戸の震災を経験されて、非常に多角的な手腕を発揮されておられます。テーマは「地方分権のあり方」ということでお話をいただきます。

それでは、貝原知事さん、よろしくお願いいたします。(拍手)

 

貝原 ただいまご紹介をいただきました貝原でございます。まず、来週の土曜日で阪神・淡路大震災から3周年ということになりますが、あの大震災以来、全国の皆様方に大変温かいご支援をいただいてまいりましたことに、衷心よりの感謝を申し上げたいと思います。本来、この震災のことにつきましても、現状等の報告をしなければいけないのかもしれませんが、総じて言いまして、この大震災が高齢社会に入ってからの大災等としては人類史上初めてだと言われておりますが、それだけにいろんな難しい課題を抱えており、国内外の皆様方のご支援によりまして、復旧につきましては、だいたい80%のところまで来ているのではないかと思います。お礼だけ申し上げさせていただきまして、主題につき、以下お話をさせていただきたいと思います。

「環境とナショナル・トラスト講座」ということでございますので、それにふさわしいテーマの講演がずっとなされている中にあって、地方分権というのはちょっと異質なような感じがしないわけではございませんが、基本的な部分につきましては非常に深いかかわりを持っているのではないかと、このように私自身は考えております。最終的にはそういうことにまで触れたお話ができればと思っております。

私の話の内容につきましては、一応レジュメを用意して、印刷物の中にございますので、この線に沿ってお話をさせていただきたいと思います。

このことにつきまして、皆様方、地方公務員の方もたくさんいらっしゃるとお聞きしておりますが、かなり専門的にも知識をお持ちになっているのかもしれません。そこで、どの程度の精度でお話するのか、私自身、迷ってはいるのですが、どちらかと言いますと、あまり細かい専門的なお話をするというよりは、基本的な事柄につきましてお話をさせていただきたいと思います。

地方分権と言いますと、よく一般的には国と地方の権限争いなのではないか。そういった意味では、地方分権と言っても、官と官との間の権限のあり方、官・官分権というようなことで、いずれにしろ一般国民とはあまり関係ないことなのではないか。そういうことだとすると、役所のほうで議論をして、要するに国民に対してきちんとしたサービスをしていただければいいんだというような認識をされている場合がございます。私はそのことにつきましては大変問題だと思っておりまして、むしろ国民の皆さん方に基本的な事柄につきまして十分認識をしていただき、このことにつきましての関係者の取り組みを支持するということをいろんな場でやっていただく必要があるのではないかと思います。具体的には、いろんな国政選挙等の場でそのようなことの国民の意思表示をしていただければと思っているところであります。

それではどういう意味なのかということでありますが、今、よく改革の時期であるということで、政治改革をはじめいろんな改革がなされております。日本の歴史上、大

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION