す。生きていらっしゃる間は全く何の負担もいらないわけです。
収入源のところでご紹介しましたように、遺産の遺贈というのは、トラストにとって52億5000万円にもなっています。しかし、そのうちの半分以上が、実際の一つひとつの金額は100万円未満の金額です。ですから、私どものサポーターの方々というのはお金持ちというわけではないわけです。遺産を遺贈することによって、ナショナル・トラストに寄付をすることによって、自分の祖国に対して恒久的な贈り物をすることになります。実は、あるサポーターの方ですけれども、その方の遺産によりまして、これらの樹木を再移植するというか植えることができました。確かにある時には、遺産というのは死ということがかかわるものですから、気分の悪い思いをする、または当惑の気持ちを呼んだりするわけです。ただ、私どもの経験したところによりますと、お年を経るにつれまして、年長者の方々は、自分の死ということに対してだんだん気持ちを落ち着かせ、納得していらっしゃるようです。ということで、こちらサイドのほうがきまり悪かったりすることであって、遺贈する側の方たちは平気でいらっしゃるということが多いようです。
次に信託基金や財団に関して簡単にご紹介いたします。
英国におきまして、信託基金とか財団ですが、非常に広範にわたったさまざまなプロジェクトに対して贈与や寄付行為ができます。例を挙げます。ある信託基金ですけれども、私どもがペットワースに保全のための作業所を建てるのに資金を援助してくださいまして、家具、それから絵画、テキスタイルや馬車といったものの修繕、保存の作業所を設立させてくださいました。別の信託機関ですが、やはりボランティアの人たちの宿泊施設としてのベースキャンプの改装、改築に資金をくださったりしております。または別の財団ですが、ロンドンのサットンハウスで私どもがやっておりますような教育プログラムに対して資金を提供してくださっております。
多分日本でもいろいろな信託基金とか財団にお願いをなされば、そのグラント(助成金)をくださって、実際的な保全のための作業とか、そしてボランティアのためのプログラムに対しても資金を提供してくださるのではないでしょうか。従来は確かに学芸活動とかリサーチ活動に対して資金をくださっていたわけですが、こういったところにも広げうるかと思います。
また、いわゆる企業がパートナーシップを組んで非営利団体といろいろな活動に従事するというのも、国によって随分状況が違っているかと思います。
例えばザ・ナショナル・トラストですが、そういう意味では実に多岐にわたって企業と提携、協力をしております。例をとりますと、私ども、ビザカードがありまして、それをミッドランド・バンクが運営してくれています。写真を見ていただきますと、右側の人、「ああ、知っている」という俳優のアンソニー・ポプキンス卿です。この方は私どものナショナル・トラストのカントリーサイド資金調達キャンペーンの委員長を務めてくださっています。
確かに企業はいろいろな慈善団体に対する寄付行為というのをしてくださるわけです。しかしながら、それ以上に大きなマーケティングの企業の予算、資金を我々が活用できる、そしてそれのアクセスを得るためには、やはりドアをたたいて、さまざまな工