そういう意味でじわじわと日本の自然は崩れていっております。
私どもはぜひそういう意味で森を守り、山を守らなくちゃいけないというふうに考えておるわけでございまして、これをどうやってやっていくかというのが、我々の運動として大事なことでございます。しかし、いろんな形で呼びかけはいたしておりますけれども、市民の皆さんが喜んでどんどん山へ行くというようなところまではなかなかいっておりません。
多くのトラスト運動がどうやって成り立ってるかという場合に、一番肝心なのは、だれかに言われて、例えばお上から何か言われて、あるいは県とか国から何か言われて参加するということではなくて、自分たちで自然を守らなければいけない、あるいは自分たちで建造物を守っていこうやというようなところから発足しまして、それでトラスト運動が盛んになっているところがトラスト運動の値打ちでございますが、私どももそれに教わりながら、ぜひ自発的なといいますか、庶民の発意による運動に展開していかなければならんと思うわけでございまして、今日、私はこの会に来て、トラスト運動のお話をすることはできません。私も皆さんとご一緒にトラスト運動の勉強をしなければならないと思って参加させていただいておるわけでございますが、その意味で、日本の現状から言いますと、市民が、住民が自発的に運動を興すということが極めて大事なことだと考えております。
とうとう話の半分ぐらいのところで時間が来てしまいましたので、これで終わります。私自身も、このトラスト運動といいますか、住民の手によっていろんなことをやっていくというのはどうやってやっていいかということを研究したいと思います。今、規制緩和ということがやかましく言われておりますが、規制緩和は何だろうかという時に、それから国の行政を小さくして市町村の行政を拡大すべきだということが言われておりますが、それは具体的にどうしたらいいかという時に極めて大事なのは、住民、市民の自主的発意による自主的運動だと思います。その意味において、ぜひ大勢の方々がトラスト運動というものの勉強をされて、そして勉強だけでは駄目なんですね。勉強したというだけでは駄目なんで、それを実践に移していただくことが極めて大事だと考えております。
果たしてご参考になったかどうか分かりませんが、以上でご勘弁いただきます。ありがとうございました。(拍手)
司会 高木先生、どうもありがとうございました。大変短い時間でお願い申し上げて大変失礼いたしました。高木先生から山業という新しい提案ということでお話を承りましたが、いろいろな意味で、学校の先生もそうでしょうし、本当に山を駆けずり回った経験を持っている最後の世代が、今ここにお集まりの皆さんと私たちではないかなと思います。
それでは次のスピーカーに移りますので休み時間といたしますが、時間が押しておりますので、少し短いですが、11時5分に始めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。