れてるわけじゃなくて、どの県でも、どの地域でも、どの山持ちさんも、皆さん、考えておられます。しかし、それじゃどうしたらいいかということについてはなかなか回答が出てないわけでございまして、平成10年度の国の予算の編成の時にも、国有林の赤字経営をどうしたらいいかというのは、かなり大きな今年の、平成10年度予算の課題の一つとして出されておりますけれども、なかなか国の段階でも、県の段階でも、あるいは個々の森林経営者の段階でも、これをどういうふうにしていったらよろしいのかなということについては、答えが出しにくい問題になってるわけでございまして、私どもはその答えを探すのを一つの仕事として考えておるところでございます。
そこで、今、私どもがやっておりますことは、いろいろありますけれども、二つ重要な点がございまして、その一つは、今の山の状況というものを広く国民の間に知ってもらうことだと、住民の間に知っていただくことだと考えます。水道の水は山から流れてきた水に違いないんですけれども、都会に住まっていらっしゃる方、都会に生活していらっしゃる方々は、蛇口をひねれば水が出てくるとお考えがちでございます。
私どもが子供のころは、水道ができ始めたころでございまして、どこの家にも井戸というのがあって、井戸から水をくんでご飯を炊いておった。あるいは庭の木に、庭の花に、庭の草に水を供給するのは、井戸で水をくんでおったわけですけれども、今、井戸というのはなくなっちゃった。全部水道になっちゃった。そうすると、今度は子供の時から水道に慣らされておりますから、水道というのはどこからどうやって、どこで生産されてるのかなんていうのはだれもあまり関心を持っていない状態になっちゃったわけなんです。
したがって、都市に住んでる人は、大雨が降っていっぺんに水が流れてくると大変だと。したがって、山に木があって、そこで水の流れの調整が行われているということは、まあまあ、皆さん、知ってると思いますけれども、それが大気の浄化につながっておる。木の機能によって、木の働きによって炭酸ガスを酸素に変えるという役割を木が果たしておるということ。あるいは水が山の木によって浄化されて流れてきておるということについて、どこまで一般の住民が知っておられるかということについては、大変疑問になってきました。
そこで今、大事なことは、下流と上流とをつなげるということが非常に大切ではないかということを考えまして、私どもの今の仕事としては、下流に水についての理解を求める、山についての理解を求めるということが、まずなされなければならないことではないのかなと考えております。そのためにどうしたらいいかということについては、当然いわゆる広報が非常に大事なことでございまして、このことについては、何も私たちだけではない、一般に大勢の方々がその重要性を説いておられます。今日、この場所を提供してもらってる朝日新聞の場合にも、非常に環境ということについては重視しておって、報道上もしばしばそういう記事が報道されておりますけれども、皆さんも非常に多くの場合に新聞その他を通じて、どうも水というのは大事なものだ、山というのは大事なものだ、木というのは大事なものだというのを抽象的にはだいたいご存じだろうと思うんですけれども、しかし、今から10年ぐらい前に、そのゆえにこそひとつ水源税という税制を始めようじゃないかと。山で水ができる。その水の恩恵で下流が生きてお