専制君主制じゃないんですから、何らかの形でそれは生かされるんではないかなというな、うに私は思います。
4番目のナショナル・トラスト運動と「まちづくり」の課題ということでたくさんありまして、いろいろ申し上げたいことがあります。これをちゃんと言うとまた1時間かかってしまいますので、とてもできないんです。まず行政あるいは法律の問題。ナショナル・トラストで重要なことは、法制度ができたから始まったというものではないんですね。まちづくり運動もそうなんです。ナショナル・トラスト運動ももちろんそうなんですが、法制度があるからやるんではなくて、何かが必要だからやるんですね。
私は横浜市でいろんなことを仕掛けました。当時、そんなものは金もないし、制度もないからできっこないよなんて言われました。じゃあこういうことが必要であるのかないのか。いや、それは必要だ。だけど金がない、制度がない、力がない、何もない、仕方がないということになるんですが。そうじゃなくて、必要なら、実現する方法を考えりゃあいいんですね。100%できなくても、50%でもやりゃあいいんですよ。
だから初めから、制度もないからこそ始めたという点が非常に大きい。しかし、制度も変えてもらった方がいいですよ。例えば税金の問題であるとか相続税の問題であるとか、さっきから話が出ているような問題、当然それも必要だと思います。しかし、それがないからできないんじゃないんですね。それはあった方がよりベターだけど、なくてもやる、それがこのナショナル・トラスト運動だと思いますし、この過去の15年間、16年間というものは、別に制度があって、運動が起きてきたわけではありません。社団法人になりましたのもつい最近、5年ぐらいの話で、10年間ぐらいの間は何もない任意法人「ナショナル・トラストを進める全国の会」としてやってきたという実際の実績の方がはるかに多いんでね。
そういうことがなければ、また法人もできなかったと思います。法制度があったから始めたのでは、私のここに書きましたようなナショナル・トラストの本質やまちづくりの本質とは違うものになってしまう。制度があるからやっているのは、自然公園の制度など、それはそれで重要ですが、それを超えたところに運動の意味がある。資金の問題、税制の問題もいろいろありますが、それも同じようなことです。法改正を進めるとともに何ができるかということです。
ただし、この場合に、私は自分も自治体にいましたので、非常に重要なこととして現在考えたいのは、自治体というのがどうしても絡むんですね。中央政府はともかくとして、自治体というのは地域で一番身近にいるんです。多くの場合に自治体があんまりよくやっていないケース、あんまり仲良くないケースもあったりするんですね。それはどうも自治体が私の言う市民政府になっていないんではないかな。自治体がきちんと市民政府になれば、まあ、100%できるというようなことは言いませんけれども、ナショナル・トラスト運動と運動して相当なことができるはずなんですね。
皆さん方は同時にこのナショナル・トラスト運動の中で、自分たちの自治体というのがどういうことになっているか点検して、やっぱりそれを市民政府によりー歩でも近づすると、こういうことをやると、自治体というのはいろんな手段を持っていますので、そういう手段も併せて活用する、そうするとかなりの効果が出てくるんではないかとい