部がつながっている、地球上、つながっていますからね。そうするとやっぱり最後的には地球規模で考えなきゃいかん。地域性、片一方は地球性ですね。途中で国家なんていうものはあんまり必要なくなるんですね。地域的に考える問題と、次に地球的に考える問題と、この二つになっちゃう。その間に介在している国家はその中でどういう役割をするかということが問題なんです。地域単位で考えるのと同時に地球単位で考える、これが私は21世紀の環境を考える環境的視点だというふうに思っております。
時間が大分たってしまいましたが、そこで今度レジュメに帰ります。その中で、じゃあナショナル・トラスト運動とは何かを幾つかの視点で考えてみたい。今、木原さんから詳しいお話がありました。ナショナル・トラスト運動は何といってもイギリスのものが原点で、ザ・ナショナル・トラストともいう。それを元にして考えてみます。
まず、主体、だれがやっているのか。さっきもお話ししたとおりに、これは市民の自発的な動きとして起きたんですね。1895年、3人の方が始めたということはお話のとおりです。
そして、それがだんだんだんだんいろんな形で広がってきたということなんで、市民が真ん中の中心にいて、その人たちの自発的な動きです。ここで市民というのは横浜市に住んでいるから横浜市民、何とか村に住んでいれば村民だという意味ではありません。それは私にとっては全部住民なんですね。法的に住民という言葉がありますが、私の言う市民というのは、その地域の中に住んでいて、しかもその地域に対して責任を持とうという人たち、そういう積極性を持っている人たちを市民と呼んでいます、ここでは。そういう市民がいるかどうかということが問題。つまり自発的市民ですね。その地域にかかわって、その地域を少しでもよりよくしたいと思っている。そこの地域に責任を感じている。もちろん権利も感じていていいんですが、権利と同時に責任も感じているという人たちが私の言う市民なんです。
そういう市民が集まってできている、それがナショナル・トラストですね。3人の自覚ある方々が集まってできたのがイギリスのナショナル・トラスト、その各地域の中で、実際の活動は各地域地域でやられているわけで、そこの市民の連合として行われているということに非常に大きな意味がございます。
その次の1−2、対象としては自然とか歴史的な遺産、これはもう言うまでもございませんで、省略をします。
1−3、じゃあなぜそういう運動が起きたかといいますと、背景としては今もお話がありましたとおりに、産業革命以来の人類行動の反省と是正というふうに書いておきましたが、産業革命によって、一方的に価値が片よったんですね。人間が便利になりゃあいい、鉄がたくさんできりゃあいい、そして蒸気機関車が走りゃあいい、レールも作らなきゃいけない、工場でいろんなものを安く大量に生産できるようにしようということをやったのが産業革命なんです。イギリスは確かに繁栄をいたしましたが、これは一方的な考えで、環境的には考えてなかったわけですね。産業という立場からだけ考えたわけです。極めて効率的だったわけですが、それが環境に大きな影響を及ぼしちゃった。さまざまな都市問題も発生しました。都市は煤煙で覆われる、水はもうむちゃくちゃに汚くなる、そして自然も荒らされる、歴史的な遺産もなくなりかける、そういう状態に