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も認められているわけであります。

私が最初行った昭和45年、1970年のころは会員は二十数万人でしたけれども、それから70年代、80年代と世界的に環境問題が注目される中で会員が急速に伸びています。ことしは60万人、次の年に行ったときは80万人といった具合で、遂に今年の初め、270万人になっています。これは一方で会費を納めなくて、もうやめていく人もいるんですが、それを上回るように新しい会員が増えているということであります。こういうサポーターといいますか、支持者をどうして増やすかということなどについても、明日スーザン・ウィルキンソンさんからのお話があると思います。

この運動は第2次世界大戦後、オーストラリア、あるいはニュージーランド、アメリカ、大平洋の島国のフィジーとか、あるいはマレーシアとか、そういうところにどんどん広がってまいりました。現在、二十数カ国でナショナル・トラスト運動が展開されています。

私は、考えるんですが、アメリカ人が人類のために貢献した一つは、19世紀半ばに国立公園、ナショナルパークというものを発明したといいますか、世界に先駆けて作り出したことですね。イエローストーンというアメリカの北部にある原生自然を訪ねたアメリカ人が、これは将来の国民のために、あるいは人類のために保存すべきだということを当時の大統領、セオドア・ルーズベルト大統領などに説得しました。当時のセオドア・ルーズベルトも非常に自然保護に熱心で、今度は自分でヨセミテ国立公園に行って、あのヨセミテにもう住み込んでいた自然哲学者のジョン・ミューアーという、もともとスコットランドから移民した人の子供ですが、ジョン・ミューアーと1週間、シークレット・サービスといいますか、そういう警護の人々にも一緒に来なくていいと言ってジョン・ミューアーと二人で1週間、イエローストーンの山の中で自然保護について語り合ったといわれています。そしてワシントンに帰っていって、ナショナルパークといいますか、国立公園というものを作り出したわけですが。

それが今や世界に広がって、日本でも1931年に国立公園法ができて、霧島とか瀬戸内海とか雲仙とか、そういうところが初めて国立公園になりました。こういうふうにして、アメリカの人類に対するひとつの貢献はナショナルパークというものを作り出したことだと言われています。それは大きな発明であって、電気とか蒸気機関とか、そういう発明も大したものですが、そういうものはどんどんどんどん新しい発明で乗り越えられていくと。一方、国立公園というものは、これはもう時代がたつに従って、その価値がどんどんどんどん高まってくるというふうに言われています。

そうだとすれば、ナショナル・トラストということを人類で初めて発明といいますか、そういうシステムを作ったという点でイギリス国民の人類の歴史に対する貢献は注目すべきものがあると私は思っているわけです。このやり方が、先ほども申しましたとおり、ずっと第2次世界大戦後、広がってきたわけであります。

こういうものをお互いに協力して全世界に広げようということも考えて、今から十数年前からスコットランドをはじめに、それからイングランド、あるいはバーミューダー、それからニュージーランドとか、各地で3年置きに国際会議を開いております。私もイングランドでありました国際会議、それからバーミューダー、ニュージーランド、それ

 

 

 

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