しかしながら、環七公害で有名な喘息のもとになる窒素公害NOxはいまだに十分除かれていないのです。これについての科学技術は大いに発展させなければならないわけです。
具体的に申しましょう。この水の汚染というふうなものは、こういうふうに急激にこの何年かで減ってきたということで優等生である。それに対して硫黄はどうか。硫黄も優等生です。もう既に申し上げたとおり、硫黄もこういうふうに昭和40年ごろに0.06もあったものが、現在では0.01程度のものになって、6分の1程度になった。すばらしいですね。
しかしながら、残念ながら窒素化合物、これは二酸化窒素でありますが、二酸化窒素はむしろ増えているくらいである。これは世界的に大問題。今の科学技術では硫黄は取り除くことができたんだけれども、窒素化合物が取り除けないのです。それが大問題。
それから酸性雨の問題というものが最近、新しく問題になってきましたね。つい二、三日前の何新聞だったかに、隠岐島かなんかのマツの木がみんな枯れちゃった。随分殺虫剤もまいたけれども、駄目だった。全部枯れちゃったんだということが書いてありました。これが公的に酸性雨によるということはまだ言われていません。しかし私は、そう言ったら悪いけれども、中国なんかはもくもくもくもくと黄色い煙を発生しております。ああいうものが日本に来ていると思う。そういう影響、それから日本自身の自動車公害というふうなことによって森林が大いに傷んでいるんじゃないかと思う。そして歴史的建物も随分これで傷ついているわけであります。これをどうしていくか。
こういうことで、おもしろいデータも、時間があればお見せしたいと思っているのがありますが。これは飛ばしましょうね。
二酸化炭素のことについて、地球の温暖化との関係のことは、もうきょうはあまり詳しくお話をするつもりはありません。この半年ぐらい、もう新聞が毎日のように書いていたことですから。しかし私が恐れていることは、もうあと二、三週間、一月ぐらいしたら、どこも書かなくなるだろうと思う。そのくらい熱くなりやすく冷めやすい問題である。
しかしながら、皆様は二酸化炭素と温暖化の関係についてさんざん聞かされた、嫌というほど見せられたと思う。だから、あまりこれ以上申しません。しかし、私は自然科学者として本当に決定的なデータがあるのですかということが私の最後の疑問です。
そこでデータの中で一番我々が納得しやすいのは、この前の京都の会議で出されたアメリカの資料であります。これは過去何万年にわたってのデータをいろいろな方法で調べ上げてまいりました。1000年が単位ですね。1000年単位で150ですから何万年前になりますか、15万年前ぐらい、そのころの炭酸ガスというのはこういう程度でありました。このときに一時的に増えたと言われています。そして気温が、温度も急上昇しました。その後減ってきた。気温も下がりました。そして産業革命以来、人類が炭酸ガスを増やしたことによってと言われていますが、炭酸ガスが極めて急激に増えてきた。炭酸ガスというのは二酸化炭素です。
それに伴って気温の方も、地球の気温の方もずうっと上がって行きました。これだけが現在の証拠です。これも証拠かどうか分からない。即ち言えることは、科学者とし