主的に発達させ、そして民主的に発展させ、あくまでも公開原則を守るべきだということを原子力三原則の中に入れてもらったんです。にもかかわらず、このところの動燃等々の対応は公開原則を無視したとは申しませんけれども、それに対する対応が悪かったと私は思っているわけであります。今後、これは大いに変わっていくと思う。もう一度原子力三原則というものに立ち戻って原子力のことは考えてなければいけないと思います。
一次エネルギーの利用は電力が4分の1程度であるということは、申し上げたとおりであります。したがって、その一次エネルギーの大部分である4分の3は自家用自動車とか、そういうところで使っているんだから、それの消費を減らそう。それから太陽エネルギーの発電以外の利用も考えよう。水素ガスを発生させる。水素は酸素と燃やして水を作るということでありますから、水素ガスでエネルギーを出すと無公害、非常に無公害である。子供たちにそれを見せるととても喜ぶんですよ。よく私の科学の学校では水素ガスを焼してエネルギーをとる話をいたします。残るのは水だ、炭酸ガス、二酸化炭素は全然出てこない。しかしながら、危ないんです。水素でポンと実験なさらないようにしてください、爆発するとけがしますから。
それから特にバイオマス、植物を育てるということで大いに太陽のエネルギーを使ってのいろんなものを、植物をたくさん作り、それからまたエネルギーを取り出すというようなことができればすばらしいことです。
ブラジルあたりですと甘薯、即ちサトウキビでアルコールを作り、アルコールで自動車を動かしているというような努力もしていますね。かなりの程度アルコールで、バイオマスで作ったアルコールで自動車が動いているようです。しかし二酸化炭素の問題はありますよ。
さて、エネルギー問題をどうするかということでは、繰り返しになりますが、各人一人一人の省エネルギーの努力を必要とする。太陽や風力の発電装置の効率を向上し、値段を引き下げる。それから原子力の安全の向上、特に使用済み燃料の処分と有効活用を図っていくというふうな努力をしてゆかなければならない。そしてまた、そのためには基礎的な科学や基礎的な技術の発展を図ってゆかなければならないということをここで繰り返し繰り返し申し上げておきたいと思います。
さて、もうあと3分になりましたから、公害について2分ぐらいでお話ししましょう。まず水汚染というのは、水俣病であるとか、あるいは田子の浦の水がヘドロで汚れたというふうな大騒ぎをした時代がありましたけれども、その後、大変な努力で、特にパルプ、製紙業の人たちの努力で水は大変きれいになりました。少なくとも河口の水はきれいになった。これは驚くほどきれいになった。隅田川がきれいになったことは、皆さん、よくご承知のとおりです。そういう意味で水汚染はかなり日本では改善された。
空気汚染も硫黄化合物、SOX、S02というふうなものは、これは随分改善されました。これは石油を燃やすときに、石油を燃やす前に硫黄を取り除くとか、燃やした後の煙から硫黄を取り除くというような努力が大変進んで、このごろは硫黄の鉱山というのはあまりはやらなくなってしまった。即ち石油やなんかから燃やす前に硫黄を取り除くことによって出てくる硫黄で、工業などに使う硫黄はほぼ済むようになってきたので、硫黄鉱山なんてあまり掘らなくても済むようになったくらい努力をいたしました。