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できるかというと、年間800キロワット時ぐらい。これは100万キロワットの大きな発電機の8基分ですから、これで例えば火力発電に反対する方にしても、ダムを作ることの反対の人にしても、特に原子力発電に反対の人も、こうやれば8基も要らなくなるじゃないかと言ってお話しになるんだけれども、これだけをやったところで、その時代、2030年の全国年間需要電力というものをやや内輪に見積もった1兆400キロヮット時の6%にすぎない。しかも、全部の家が400万も使って、あるいは通産省で金を出して手伝って、全部の家がつけたとすればここまで行きますけれども、まあ、行かないですね。現実的にはとてもとても800億キロワット時なんて出ません。200キロヮット時であろうと思います。そうするとまたこれの4分の1ぐらいになるわけです。

もう一つおもしろいお話をいたしましょう。まず、その前にもっと太陽エネルギーは来るんじゃないかとお思いの方があると思うけど、太陽エネルギーってどのくらいのものか、太陽発電の実態について述べてみましょう。この図は何を表しているかというと1日の日照時間、太陽電池における1日の出力の曲線であります。朝6時に目が覚めて光が来るということで太陽電池が働き始めます。そして南中時においてピークになる。これが先ほど申しました3キロワットというふうな数字です。そして日照がまた減り始めてくると、ずうっと下がってきて夜の6時にはもう発電しなくなってしまう。

ですから太陽電池でおやりになる方は、是非おやりください。しかし夜、どうするんですかって私は聞きたいわけです。昼間、ためておけばいいという答えがあるでしょう。ためる技術というのは極めてまだ幼稚なんです。発電機は随分よくなったけど、蓄電池というのは非常にまだ幼稚なんですね。高い、鉛公害があったり、いろんな問題もある。エジソンが、あの発明王エジソンがすばらしい蓄電池を発明した人には賞金をあげると言ったことがあったと思うんですけれども、伝記によれば。それに対して、その賞金に値するような発展があったかどうかと言えるくらい蓄電池というのは幼稚なんです。

ですから、夜、どうするかという問題。曇った日はどうするか。こういう、風は吹いてもいいですけれどもね。こういうことを考えますと、太陽のエネルギーというのは非常に使いにくいエネルギーであります。

そして、先ほど申し上げた数字、日本中の家が全部3キロヮットの太陽発電機を持っても、日本全体の発電のために必要な発電量の数%しかならないよというような計算にはこういうことが入っているのです。即ち利用効率というのが0.12という数字が掛けてある。これはどういうふうにして計算するかというと、ここからちょっと考えてみましょう。

仮にこの太陽の光が真昼を頂点とした三角形の格好で使えるといたします。そうしますと、これが実際に使われているものとほぼ近いものです。そうすると太陽エネルギーというのは決して、皆さんが太陽バッテリーを買うと3キロワット発電しますよと書いてあるけれども、その3キロワットを一日中発電できるほど太陽のエネルギーは来ないわけでありまして、まずその半分と思っていいわけです。したがって1/2を掛ける。それから昼と夜がありますから1/2を掛ける。それからまた雨が降るというようなことがあります。そういうことをやりますと、この2分の1掛ける2分の1だけだって、もう

 

 

 

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