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れない。だけれども、アラビア諸国、インドネシア諸国等々のあらゆる油田はそれ以上増えていない、この10年間に増えていないということが不気味なデータであります。

しかしながら、先ほど申し上げたように、もしも値段を2倍にすれば、現在はどのぐらいかというと、1バレル、中近東が2ないし5ドルとか、アメリカが7から11ドルと言われておりますが、この生産コストを少し高めてみたらどうなるかということであります。今のコストの10ドルぐらいですと、先ほど申しました40から50年ぐらいたつと石油や天然ガスはなくなってしまうことは明らかである。

しかしながら、もし20ドル以上出すとすると、2080年ぐらいまではまあまあ持つであろう。ですから、もう今のうちから石油や石炭や天然ガスは2倍出すんだということを覚悟しておいた方がいいかもしれませんね。しかし、技術を進めれば、多分もう少し安くなると思う。このためにも科学技術を進めなきゃ駄目なんだということを申し上げておきましょう。

こういうことで、一方では新しい油田が見つからないという極めて不気味なデータがあり、一方においては、しかしながら、お金をもうちょっと出せば、あるいは技術が進めば2080年ぐらいまでは持ちそうだということになりますと、まあ、皆様方、一生のうち問題ないかもしれない。しかし、孫子において、特に孫の代ぐらいから大きな問題が起こってくるかもしれない、資源は有限であるとということを申し上げておきましょう。

そして、これもよく言われることでありますが、電力の需要が急激に増えてきていることも事実です。1970年から始まって10億キ百ワット時という単位でありますが、260というものであったのが、現在は1995年において757になっている。これを一体どうすればいいのか。これはどんどん増えますよね。先ほどの石油や天然ガスが50年というような予想は、ある程度こういう産業の振興を頭に入れて計算をしたものです。私自身が調べたものもありますが、きょうは時間がないので申し上げませんけれども、なかなか予測というのは難しい。しかし、過去は分かっている。歴史を見れば、こういうふうに増えてきているということは事実なんです。こういうことをやはり我々は考慮してゆかなければならない。

もう一つおもしろいデータをお見せしましょう。最終的に一次エネルギーの中でいろんなエネルギーの使い方がありますね。自動車に使っちゃうとか、工業に使うとか、いろんな使い方があるけど、電力にどのぐらい使っているんだろうかということです。21%にすぎないのですよ。だからいくら電力を制限しようといっても、21%に関して何とか制限しようということに過ぎないのです。大きなのはそれ以外の使い方、電力以外の使い方であるということを我々は十分認識をしておかなければならない。電力だけ、火力発電所に反対、原発が反対だとか、太陽エネルギーがありゃ十分だとか、いろんなことをおっしゃるけれども、それ以外の使い方があるということをよく理解していただきたい。この点が極めて忘れられている。

今のことを数字にしてみました。日本の一次エネルギー供給構成と電力利用の割合であります。例えば原子力なんていうのは、これはもう電力しか使いようがない、今のところはですね。少なくとも100%近くは電力として利用する。それから地熱や水力も

 

 

 

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