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います。これが中国ですね。一番下に中国。1993年に調べたところ、中国では約800万台の自動車があった。これが日本と同じように、以後30年の間に10倍に伸びていったらどういうことになるか。中国の人口は日本の10倍あるわけですから、自動車の台数も10倍をはるかに超えるであろう。30年後には10倍は明らかに超える。さらに100倍になるかもしれない。

こういう発展途上国の人々が自動車を持つ、産業を発展させていくというようなことがどんどん進めば、いかにエネルギーが消費されていくか。先ほど50年といったようなものは、あるいはもうとてもユートピアかもしれません。もっと早くエネルギーがなくなるかもしれない。

しかしながら、発展途上国の人々に、我々がエネルギーをさんざん使ったけれども、あなた方は使うなよなんていうことは言えない。人類は平等でなきゃならない。そのことを我々は覚悟していかなきゃいけない。そのためにどうしたらいいかというと、やっぱり先進諸国。アメリカを初めとして一人一人のエネルギーを何とかして減らしてゆかなければならない。省エネルギーの努力をしてゆかなければならないわけです。

あまり省エネルギーをすると日本の産業が弱くなるではないかと考えられる方があると思う。私はそうではないと思う。省エネルギーをするために、例えば自動車の改善を行う。具体的な会社は申し上げません。しかし、既に幾つかの会社がハイブリッド型の自動車というふうなことを発明をすることによってエネルギーの消費が減り、しかも二酸化炭素の発生が少なくなってくるような工夫をしているわけです。そして日本ほど、日本ほど公害に対して努力をしてきた国はない。そういう点では日本は産業界も含めて優等生であります。そういう努力を産業界ですることによって、経済もまた保ちながら、新しい環境にやさしい産業を進めながら、産業の活性化を図ることもできると思います。

私がここで申し上げたかったことは、日本が30年間に10倍自動車を増やしたと同じように、中国もまた10倍、100倍と増やしていくだろう。これに対して我々はやめろと言えない。しからば、どうすればいいかというと、省エネルギーの技術や公害を発生させない技術を中国に対して安く渡してゆくべきだと思います。

現在、いろいろな統計で言われているのは、極めて悲観的な数字であります。現在の化石燃料がどれだけ持つか、先ほど既に申し上げた。ウラニウム235ですら、原子力発電のウラニウムですら43年しか持たないだろう。それから天然ガスは65年、石油は45年、石炭は先ほど300年と申し上げましたが,231年と言われています。こんな正確なことを言えるだけの技術力は世界にない。だから、要するに200年から300年たてばなくなるよと思ってくださればいい。しかしながら、これは先ほど申しましたように、私は極めて疑問を強く持ちまして、本当だろうかということを私は思ったわけです。

ところが、こういうことが分かりました。既にデータがありました。これはどういうのかというと、現在、1兆バレル、石油に関してはアラビアなども含めて1兆バレル掘れそうだということが言われておりますが、一番これで心配なことは、1989年、90年ぐらい、10年前ぐらいから、もう新しい石油の油田が全く見つかっていないということです。アメリカあたりは隠しているにちがいない。だから、今から50年たつとアメリカだけが石油を使える国になるかもしれませんね。ですから、あるいは隠しているかもし

 

 

 

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