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教えてほしいと思っているわけです。

2番目に、その環境教育がさらにうまくいくためには、どうしても地域社会の活性化が必要である。もはや教育を小・中・高・大学に任せておくだけでは駄目だ。特に若いときの教育は家庭と地域社会が大いに参画してやっていただかなければならない時代であるということをここで強調しておきたいと思います。そのためにはボランティアの育成ということが極めて必要である。そして、そういう点でナショナル・トラストの方々が大いに働いていただきたいと思っているわけであります。

中央教育審議会の環境に関する考え方の中で大きな問題は環境問題の広さということであります。環境教育は非常に広く、身の回りの問題から地球規模の問題まで広がりを持っている。したがって学習領域も自然科学、社会科学から感性や心の問題にまで及ぶわけです。

ついおととい、小中学校の先生たちと話し合いをいたしました。そうしたら、「こういう問題をどうやって教えたらいいんですか。今まで私たちはそういう教育を受けていません」と、こう先生が言われる。「したがって、自分たちは英語とか数学とか国語とかは教えられるけれども、こういう環境問題は教えることができません」、こういうおっしゃる方が多くおられる。まずはそういう先生方の教育から始めなければならないというわけであります。

学校、家庭、地域社会がそれぞれ取り組んでゆかなければならないということは既に申し上げました。そこで「環境から学ぶ」、「環境について学ぶ」、そして「環境のために学ぶ」という三つのことが大きなスローガンになるわけであります。単に環境を見るだけでは駄目である。その環境がどういうなふうにできているかについて学ぶ。さらに環境をよりよくしていくため、環境を保全していくためにはどうしたらいいかということを学ばなければならないわけです。

そこで特に留意すべき点といたしましては、小中教育では各教科の連携により環境への理解の増進が必要である。環境を大切にする心の育成、環境の保全やよりよい環境の創造のために行動できる、これが非常に重要ですね。日本人は口では環境を大切にしろと言ってヨーロッパのアルプスに行く。いくらアルプスに連れていく人が高山植物をとっちゃ駄目ですよ、駄目ですよと言っても、一番とるのは日本人、こういうところを日本人は反省しなければならない。そういうことで、行動できる能力、自分が実行する、欲しいと思っても環境のために保存するというふうな、そういう行動できる能力を育成していかなければなりません。そこで地域社会における学習機会の提供をお願いいたしたいと思うわけです。

さて、以上は中央教育審議会、私が会長をしております中央教育審議会の考え方を申し上げましたが、具体的にそこで導入いたしました総合的学習の時間をどういうふうに使っていくかというようなことに関しては教育課程審議会、三浦朱門さんが会長をしておられる教育課程審議会にお願いをして検討してもらっております。

そこで教育の中で環境教育をどうするかということでありますが、環境やエネルギーへの理解の増進、環境を大切にする心の育成、環境保全等のための主体的に行動する態度、能力の育成、地域学習の充実等、こういうことを図っていくことが重要であろうか

 

 

 

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