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立した。このため、このような制度の下では「ソビエト執行委員会」という名称はアナクロニズムである、それは事実上、市長の「執行委員会」であるという批判がなされた(46)。

1996年6月28日に最高会議によって採択されたウクライナ憲法は、大筋において「憲法合意」の内容を再確認した。市町村のみが純粋な地方自治体とされ、係争問題である州・地区ソビエトについては「市町村のコミュニティの共通の利益を代表する地方自治の機関」である、という曖昧な規定が与えられた(第140条)。これでは、州・地区そのものが地方自治の単位として認められるのか、それとも州・地区は、市町村の連合体の類なのかが明らかでない。なお、憲法は、国家レベルで大統領共和国制を採用した(つまり、大統領は執行権の長であるばかりでなく国家の長である)ことのアナロジーとして、従来、「市町村ソビエト議長」とされていた役職を「市町村の長」とした(第141条)。

 

(6)1997年の再々分権化?

 

憲法の採択後、その具体化としての地方国家行政府法と地方自治法の検討が本格化した。この過程には二つの特徴が見られた。第一は、いまや市町村にしか関わらない地方自治法よりも州・地区に関わる地方国家行政府法の方が重要であるとみなされるようになったことである。重要度を反映してか、地方自治法については大統領府と最高会議の妥協がなされ、1997年5月には同法が成立したが、地方国家行政府法については1997年秋の時点でいまだ審議中である(本稿では、地方自治法のみを検討する)。第二の特徴は、大統領派がロシアの例に倣って、地方自治体形成に際しての憲章主義を前面に押し出してきたことである(47)。憲章主義とは、日本をはじめとする大陸型の地方制度を採用する国が、地方自治体の組織形態を単一の国法によって全国画一的に定める(ドイツのような連邦国家では、ラント法が邦ごとに画一的に定める)のとは対照的に、地方自治の主体はあれこれの機関ではなく「地域共同体」(48)そのものであるとし、その地域共同体が自ら定める憲章によって(その地域共同体を基礎に形成される)自治体の組織形態を自立的に選択することを認めるシステムである。アメリカ合衆国がこの典型であり、たとえば「強い市長」制をとるボストン市の隣のケンブリッジ市はカウンシル制をとっている。ちなみに、ヨーロッパ・チャーターは憲章主義の立場をとっていない。

ポスト共産主義国に憲章主義を移植することの意味合いについては、筆者が既に別稿で論じた(49)。それを要約すれば、次の通りである。?アメリカ合衆国において自治体の過半数の人口が千人に満たないのに対し、旧ソ連圏の市・地区の平

 

 

 

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