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あたって沿海地方の地区・市行政府に「65%以上」という要動員ノルマが課されたのは事実のようである。実際、ナズドラチェンコは70%近くの票を得、チュバイスは第一副首相職から解任され、半年近く雌伏することになる。1996年大統領選挙でのチュバイスの活躍は彼を復権させ、逆にナズドラチェンコのパトロンであったソスコーヴェツ副首相が解任された。ここから、こんにちに至るナズドラチェンコの危機が始まるのである。こんにち、モスクワでナズドラチェンコの立場を代弁するのは、資源採掘産業と密接な関係を有する「オネクシム銀行」であると言われる。また、チェルノムイルジン首相は、ナズドラチェンコと同じく資源採掘産業出身であるためか、ナズドラチェンコに理解があると言われている。

 

(4) リージョンとリージヨン中心市との関係:スヴエルドロフスク州との比較

 

連邦主義の母国アメリカ合衆国において、強力な連邦センターを作り出さないために、ワシントンDCという中規模都市が人工的に建設されたのは著名な事実である。彼国では連邦主義の精神が州内政治にも浸透しているため、カリフォルニア州の州都がサンフランシスコでもロサンジェルスでもなくサクラメントである、ニューヨ-ク州の州都がニューヨークではなくオールバニであるといった例は多い。当該州の社会経済的中心に首都を置くことは、連邦主義の発揚を妨げるのである。ところが、歴史的に常に中央集権国家であったロシアにおいては、まるで自明のことのように、当該リージョンの最大人口都市にその首都が置かれている。ロシアが連邦制と地方自治を構成原理とする国家に移行するにあたって、この問題がアキレス腱として浮上した。つまり、リージョン中心市とそれ以外の地域とが「ガリバーと小人たち」を想起させるような関係にあるロシアの多くのリージョンに連邦制的な国家編成原理を適用すると、リージョン中心市の自治体権力と(それ以外の地域の利益を往々にして代表する)リージョン権力とが鋭い対立に陥るのである。したがって、ウラジオストク市にその総人口の3分の1、総工業力と総税収の約4割が集中する沿海地方において、クライ権力とウラジオストク市権力の間の抗争が痛苦に満ちた様相を呈したことは、ある程度は法則的なことであった。この点で沿海地方は、同様に州都エカテリンブルク(旧称スヴェルドロフスク)が小人に緊縛されたガリバーのような立場にあるスヴェルドロフスク州(28)と比較することが可能である。

リージョン中心市とそれ以外の地域の対立は、第一に財政面で現れる。スヴェルドロフスク州においては、1996年以降、州内トランスフェルト制が機能している。トランスフェルトは「上位予算からの移転資金」とでも訳すべき財源であり、支出目的が特定されずに一般会計に組み込まれる点で、特定目的のために上位政

 

 

 

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