されている。これらの問題は連邦法によって規制することができるのである。
選挙実施の期限を連邦法で定めることは、選挙の具体的な日時を指定する構成主体の国家権力機関および地方自治体の権利を侵害しておらず、この権利の実現を時間に関して一定の枠内においたにすぎない。同様に、この法律の問題となっている条項は、地方自治機関の選挙実施手続を規制したものではなく、連邦構成主体と地方自治体の権限に属する地方自治の制度それ自体について定めたものでもない。もちろん、最初の選挙の実施によって地方自治機関が形成された後には、それ以降の選挙の実施の時期的枠を定める権利は、連邦にはないことになる。
憲法裁判所は、以上のことから、地方自治法の問題の条項は、構成主体の国家権力機関および地方自治体の権限を侵害しておらず、違憲ではない、と結論づけている。
? これとは別に、連邦地方自治法(1995.8.28)に関連してその49条の合憲性が審査された事件(1997.10.16)がある(97年10月23日付『ロシア新聞』)。
当該規定は、地方自治機関および選挙制の地方公務員の活動の違憲性または違法性の確認手続およびその確認後の選挙に関するものであるが、これについて、ブリャーティア共和国議会がその合憲性審査を申立てたのである。論点は、自律的であるべき地方自治体に対し、国家権力機関が任期満了前の議員などの解任に介入することになり、しかも連邦と構成主体の共同管轄事項となっている地方自治問題について、連邦法でこうした規定を定めることは、地方自治に関する憲法原則に反するという点にあった。問題の条項は、違憲、違法な地方自治機関・公務員の行為についての裁判手続とその確定後の選挙実施について構成主体の法律によって定めるとしており、憲法裁判所は、この事件について、それ自体が憲法原則に違反するものとはいえないと判じた。
? トゥーラ州裁判所の申立てによる「憲法上」の地方自治機関を選挙し、この機関に選挙される権利の保障に関する連邦の法律(1996.11.26)2条の合憲性審査事件判決(97年11月12日付『ロシア新聞』)についても簡単にふれておこう。
問題の規定は、地方自治体の形成、統合、改組などの手続を規制する立法をもたない構成主体においては、現存の区分による地区、市、市内の地区(市区)、町、村その他が地方自治体であるとみなされ、連邦の地方自治法が施行されるとした)のである。これにもとづいて、トゥーラ市およびその市区における地方自治機関の選挙日時の公示がなされたことに対し、検事などが裁判所に訴え、それを州裁判所が憲法裁判所に照会したというのが事件の経緯であるが、憲法裁判所は、トゥーラ州議会が未だ地方自治体の地域区分、地方自治体の形成の手続を定めていないことなどを理由としつつ、この連邦法の合憲性を結論づけている。