(3)施設の設立主体・財政負担
新首都では次の施設を設置することとされているが、これらの設立主体、財政負担についてはどう考えるかについて検討が必要である。
○会議施設 ○各種博物館 ○文化学術の交流施設○広場 ○空港、幹線交通体系、公共輸送機関等
これらの施設は、通常財政学では準公共財ないし地方公共財に該当するものである。しかし、首都にあっては、これらの施設は国の首都の顔となる部分であり、首都機能を維持するために必要不可欠な施設(受益が国家レベルの純粋公共財)とみなされる。したがって、これらの施設に地方財政が支弁することは適切ではないとの意見があった。
道路、公園、上下水道、学校、廃棄物処理施設などの設置・整備は、本来、首都機能とは関係なく、住民のために地方公共団体が行わなければならない。しかし、首都機能移転においては、移転に伴い新首都地域の人口が急激に増加すること、受皿となる地方公共団体の財政力が脆弱であること等が想定されるところであり、さらに、新首都建設という極めて国家的なプロジェクトの遂行という特殊事情にかんがみれば、通常の国・地方の役割分担では律し切れない部分があると考えられ、国の積極的な役割が期待されるところである。
なお、この場合、新首都の建設時についてだけではなく、首都における公共施設の維持管理費用に関する国と地方公共団体の財政関係も明確にしておかねばならない。