(1)計画・実施に関する特別の法律
報告の内容を踏まえると、新首都建設の計画・実施に関する特別の法律を制定することが必要となる。
この首都機能移転の実施の段階では、必要となる法律としては、例えば次のようなものが考えられる。
ア 首都建設を統括する国の機関の設置に関する法律
イ 新首都建設の事業主体の設立等に関する法律
ウ 新首都の建設計画の策定や具体的な建設手法、建設の促進のための措置等に関する法律
なお、建設促進のための法整備として筑波研究学園都市については「筑波研究学園都市建設法(昭和45年 法律第73号)」が、また関西文化学術研究都市については「関西文化学術研究都市建設促進法(昭和62年 法律第72号)」が制定されている。
ただし、筑波研究学園都市および関西文化学術研究都市ともに事業主体が既存の国の機関や公団または民間事業者であったため、事業主体の設立等に関する法律は制定されていない。
(2)事業の推進主体
筑波研究学園都市の場合「特別な国家機関」は設置されず、研究学園都市建設推進本部(本部長:国土庁長官、本部長:関係省庁の事務次官)が、関係省庁間の連絡調整及び計画の推進を担当した。
関西文化学術研究都市の場合、財団法人 関西文化学術研究都市推進機構(会長:関経連会長、関係府県知事は理事)が、計画の企画立案などを担当した。
新首都建設での「特別な国家機関」は事業の性格上、筑波研究学園都市の場合のような関係省庁連絡会議的な建設推進本部ではなく、正式な国家機関となる可能性が強いと思われる。
また、事業の推進主体となる「国が設立する一の事業主体」についても、既存組織の活用という方法もあるが、新首都建設のための新しい組織をつくる可能性もあると考えられる。