[一般事例]地域活性化と都市農村交流事業
福岡県八女郡矢部村
発端:
地域活性化事業の目玉として展開されたのが、都市農村交流に焦点を当てた宿泊・レストラン・体験農業・イベント機能等を複合した交流センター事業である。
内容:
? 財団『秘境・杣の里』の事業展開は、宿泊・レストラン経営・体験事業などだけではなく、福岡市内にアンテナ・ショップ「ソマリアン」(カレー専門店)や青空市、さらにはカレー生産を軸とした食材生産販売工場「旬の厨」を村内に建設創業している。
? 平成元年に開園して以来着実に業績を伸ばしている。
? 茶摘みツアーや紅葉狩りツアー、また地元歌手のコンサートや一人芝居を主催するなど各種イベントの展開も活発である。
? さらに、この財団『杣の里』の活動は、矢部村全体の地域活性化と深く連携しながら拡大している。
‐1. 矢部村役場が推進している高齢者福祉対策や生涯学習事業とも深く連携し、社会福祉法人「結の森J(特別養護老人ホーム・デイケアサービスセンター施設等)事業を行っている。
‐2.『世界子供愛村祭コンクール』(小・中学生の森林愛護に関する絵画・詩・作文の全国コンクール。矢部村教育委員会主催の単独事業)活動とも深く連携している。
? 『杣の里』事業は、行政事業のみならず、矢部村内の青年団活動や林業研究クラブ、生活改善クラブ、老人会などの地域諸団体の活動にも連動している。
? 福岡市のアンテナショップ「ソマリアン」を通じて都市市民との交流(月一回の公団住宅出前市の開催や矢部川流域の川上川下交流会など)を展開。
? 都市農村交流だけでなく、矢部村周辺の過疎農山村の若者地域活動の支援もしている。隣接町村の地域活動に関心を持つ青壮年の「県境を越えた地域活性化塾」(「徳野山岳塾」)は、過疎で悩んでいる近隣町村の若者と交流し、広域な地域活性化活動を展開すべきではないかという要請に、矢部村役場がその当初の活動資金を出してくれたのが「塾」の出発点であった。以降「塾」は財団「杣の里」の施設を借りるなどの支援も受けているが、自主財源で運営している。
構想:
昭和62年に国土庁の「リフレッシュ・ふるさと推進モデル事業」の指定を受け、「秘境・杣の里」構想を打ち出した。
内容:
? 矢部村最深部の標高500mの大和地区に、大つり橋、宿泊施設、陶芸・木工・草木染めのクラフトセンター、研修施設、多目的広場と自然遊歩道などの「杣の里・渓流自然公園」建設を軸としたリゾート・ゾーン開発。
? その施設活用を軸とした都市・農村交流事業。
? 単なる「リゾート開発」ではなく「心の交流事業」
−1. 当初からハード事業よりもソフト事業の構築に重きをおくというスタンス
−2. 地元住民に繰り返し説明
−3. 「心の交流の仕組み」をどう作り出すかに力を注いだ
−4.財団「柚の里」の運営と事業内容をどのような中身にするか、そのシステムづくりに最も力を注いだ。