(ウ) 留意点
a 激しい競争を予想したものづくりへ
「一村一品」運動は、地域の資源と技術を活用し、小規模であっても個性的で、地域の誇りとなる「一品」を作りだそうとするものであった。その後各地域で特産品が生まれてきたが、その多くは競合して売れない。ワイン、ジュース、ジャムなどは「世界商品」であり、東京をはじめ全国の市場において、国内の他地域の製品のみならず、世界が相手である。生産者の論理が優先している場合はとかく失敗する。
b 市場の変化への対応
モノ資源の発見活用、人的資源発見活用といいながらも、現代は多様なニーズに応えた付加価値を高めて売る時代であり、競争力を持たせるうえで、消費者への配慮や消費者の動向など、市場性を的確に把握する専門部門を設置する必要があろう。倉橋ブランド化などといった付加価値化を図るうえでも、いわば質の良い情報をどのように取るかが成功の鍵といえる。アンテナショップでの売れ行調査などは、消費者の嗜好を直に取れる方法の一つといえる。
c 販売体制の強化
どのような理念で製品化するかによって生産、加工、販売と大きく違ってくる。誰に何を売るのかによって販路は違う。有機農法産品の直販や、受注生産による予約販売などネットワークによる販売方法もある。販売体制の強化のみならず、生産から加工、販売の流れの中で、各局面での目的と対応策を明確にする必要がある。