3.施策・事業の展開
これまでに、本地域におけるレクリエーション機能整備の可能性として、個別のレクリエーション活動の展開を検討する以前に、本地域がもっている(あるいは以前に存在した)美しい農村風景の中に、非日常的ではなく比較的身近な存在としてレクリエーション活動の芽が見いだせることを示した。また、そこから生じる様々なレクリエーション活動は、特定の場所で集約的な形で展開されるのではなく、本地域全域に分布する自然、農業、林業、歴史、文化等々のレクリエーション資源を活用し、それぞれの局面で交流が生まれ、次第に大きな流れとなっていくような状況を想定した。
さらに、4町村が協力して行うレクリエーション活動の共通イメージとして「美しい風景の中で、四季を通じて感動を伴う体験ができるレクリエーション地域づくり」という目標を設定した。
ここでは、レクリエーション施策展開の方針に沿って、本地域において想定される具体的なレクリエーション活動について示す。
■ 施策・事業の展開構成
□ レクリエーション活動の基調となる「美しい風景の中でのレクリエーション活動」
□ 城北地域のフィールド特性を背景とした「レクリエーション活動の展開イメージ」
・ “水”のレクリエーション
・ “山林”のレクリエーション
・ “農”のレクリエーション
・ “技”のレクリエーション
(1) 美しい風景の中でのレクリエーション活動
農山村景観の美しさは、単にそのままの自然が多く存在しているということではなく、自然環境と長年の生産行為や生活、文化が運動したその地域独特の風土から生まれるものであるが、本地域の中にもそのような状況を垣間みることができる。
また本地域は、那珂川、藤井川の流れ、御前山、八瓶山の眺望、のどかな田園などそれぞれに個性豊かな、素朴で落ちついた誰もが郷愁を感じるような風景が残る地域として、その特徴を活かしたレクリエーション活動の可能性を見いだすこともできる。
反面、近景に目を向けると、放置された山林、休耕田、改修後の河川護岸など美しい風景を阻害する景観要素が目立ちはじめていることも事実である。実際にこのような状況を改善するためには農業や林業など地域の産業を再び振興するとともに、景観に配慮したハード整備や地域住民の景観に対する意識的な取り組みなどが必要であるが、一方で、休耕田を活用した農業体験、里山を活用した林間活動などレクリエーションの一環としての諸活動を通して、そのような環境が改善されている例も増えてきている。
本地域においては、共通認識として“美しい風景のある城北”を基調に置き、レクリエーション活動の舞台としての風景づくりを進めることが必要であるとともに、レクリエーション活動そのものが美しい風景を生み出す可能性を視野に入れた取り組みにより得られる城北らしさの創造が重要である。