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第5章 榛名山麓の整備基本方針

 

1 榛名山麓活性化の課題

 

(1) 榛名山麓の変遷と基本認識

榛名山麓の歴史を振り返ると、榛名山の誕生以来長い年月を経て形成された生態系の上に、農林業や観光などの産業が集積され、人々の生活の営みが蓄積され、近年には都市化の進展による都市を中心とした生活圏が形成されている。

この間、古くは榛名山信仰にみるような、広域の人々の信仰を集めるとともに、戦国時代の長野氏の築城や真田氏の活躍、近年では、竹久夢二、土屋文明、徳富蘆花などの文化人の支持を集めるなど、榛名山麓の多面的価値が認められる。

このような既存の地域資源の利活用はもとより、今後はそうした資源に加えて、新たな山麓文化を創造することによって、山麓全体を生き生きとさせ、そこに住むものはもちろん、今後はとくにこの土地を訪れるものにとっても魅力を感じる地域づくりが求められている。つまり、これからの榛名山麓における地域づくりには、榛名山麓の見方、利用のし方を新たに付加した方向で取り組むことが重要であると考える。

 

(2) 課題事項の整理

第1〜4章までの検討を踏まえ、地域住民の生活あるいは生産の場としての活性化と都市住民の憩いと潤い、あるいは癒しの場としての活性化の2つの観点から課題を再整理すれば、以下のとおりである。ここで挙げている課題は、地域の内と外の両方からみても、最終的には相互に関連し、相乗効果が期待されるものである。

 

ア 分野別課題

(ア) 地域環境

地域環境の分野では、住宅地の郊外化や山裾における沿道部を中心とした乱開発の進行により、地域景観の破壊や交通渋滞による環境汚染が進行しており、水源地域としての環境保護をはじめ、山麓地域全体での一貫した対応方策の確立が課題となっている。

 

 

 

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