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カシオペア・エコミュージアムプロジェクト

岩手県の北端に位置する軽米町は、町域の8割が山林原野と豊かな森林資源を有し、救慌作物としての大豆、ひえ、そばなどの「雑穀」の生産が盛んだったが、近年では自然食への志向や食物アレルギーの人々から雑穀の需要が高まっており、同町が行なった資源調査でも「雑穀」は町の特徴として挙げられている。同プロジェクトは、「雑穀」をテーマに地域振興を図ることを目指したものであり、次の3事業で構成されている。

?森とのふれあい施設整備事業

農林産物展示販売施設

?ミレット(=雑穀)パーク整備事業

雑穀の料理(そばなど)を提供するレストランや調理体験施設、特産品の展示販売施設などを有する核施設「ミレットプラザ」や簡易宿泊施設等の整備

?健康とゆとりの森整備事業

自然観察ゾーン、林内歩道、森林整備

このうち?は既設内の整備であるが、残りの事業は同町と二戸市、九戸村にまたがる折爪岳周辺を計画地とした。同町では、整備後、施設が二戸市や九戸村側の施設と遊歩道などで連絡されて一体的に機能することを期し、この考え方が「地域資源を保存、育成、展示することを通じて地域社会の発展に寄与する」エコミュージアムの考え方に合致したものであったことから「エコミュージアム」をプロジェクト名に組み込んだ。また同町では周辺も含めた二戸地域の広域市町村全体での地域振興を図るため、91年から近隣4町村と連携して「カシオペア連邦」を組織し、物産・観光展を開催するなどの活動を続けてきており、連邦の振興の一端も担うようにとの期待を込めて同プロジェクトに「カシオペア」を冠した。

同町では事業化にあたり、エコミュージアムが日本でまだ事業として確立されていないことから、各施設をいろいろな事業制度に絡めて整備を進める手法をとつた。まず先行して核施設であるミレットプラザと簡易宿泊施設(コテージ)8棟、農林産物処理加工施設などを整備し、95年に部分的に開業。その後も周辺の整備を継続して進める予定である。

オープンに先立つ95年4月に、第三セクターを設立し、施設の管理運営や特産品の開発・販売などを委託。現在、農林産物処理加工施設で製粉した粉をミレットプラザで製品化して提供・販売するという連動が図られている。当面は宿泊しながら体験学習などができる施設として地元住民と都会住民の「交流」をメインとして機能させていく予定である。

今後、雑穀文化を軸に、自然食文化や山村生活文化を基調とした「食と健康」を追求する

施設を周辺に展開し、ふるさと型体験観光(グリーンツーリズム)を視野に入れながら、全国へ情報発信することを目的とした施設整備が進められる。ただ、もともと財政状況が楽ではなく、財源を探しながらの進行となるため速やかにはいかない状況ではあるものの、今後はひとつひとつ整備される施設と既存施設を有機的に結び、エコミュージアムに象徴される「広域的地域振興」を図っていく。

 

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折爪岳の中腹に整備されたミレットパーク。ミレットプラザ(左)とコテージ群(右)

 

 

 

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