(2) エコ・ミュージアムの事例
エコミュージアムは、フランスで国際博物館会議初代会長アンリ・リヴィエール氏によって提唱された。現地保存型の野外博物館の考え方で、「生活・環境博物館」と邦訳されている。
点在するサテライトとこの間のネットワークを司るコア施設、ディスカバリートレイル「発見の小径」で構成され、住民参加を原則とし、地域社会の発展への寄与がその理念とされる。
エコミュージアムの背景には、開発中心のまちづくりではなくソフト重視の流れがあり、住民の参加と、事業の組立が課題となっている。
朝日町エコミュージアム(山形県朝日町)
経緯・1995年「日本エコミュージアム研究会」が発足し、当町にて「エコミュージアム国際会議」開催。全国で初めてエコミュージアムに取り組む自治体となる。
・磐梯朝日国立公園の主峰朝日岳の東部山麓に位置し、プナの原生林など自然環境に恵まれている。
・町の活性化策として果樹を中心とした「りんごとワインの里」、家族旅行村整備事業による「朝日自然館」(約20億円)整備を行っている。
・朝日町エコミュージアム研究会を中心とした自然や文化をいかした町づくりへの取り組みとして「朝日町エコミュージアム基本構想」を作成し、町の企画商工観光課内に「エコミュージアム研究機構」を設置。
特徴・山岳信仰が盛んだった当地で、山の神、水の神、さらに空気の神として「空気神社」を建立し、空気神社まつりを開催。
・1994年から「朝日町エコミュージアムの小径」小冊子作成。
・サテライト第1号として「ビーズファーム」にて蜜蝋づくりの実践と展示。
課題・コアセンターが未整備。「コアセンター、サテライト、ディスカバリートレイル」で構成されるエコミュージアムとしてエリア全体が機能するまでには時間がかかる。
事業主体: 朝日町、朝日町エコミュージアム研究会