2 住民と公共の役割分担の考え方
高齢者の場合、一般には体力も弱く、行動力も乏しいと思われがちであるが、最近の、そしてこれからの高齢者像は、ひと昔前のそれとは異なり、「第二の人生を楽しむ」世代、また長寿社会におけるまちづくりの重要な要員としてとらえていく必要がある。
さらに、高齢者が生きがいをもって暮らせるためには、自らが社会に貢献でき、必要に応じて生活の基盤を築いていける環境が必要である。
そのためには、高齢者は自らの体力・能力にあった社会参加のあり方を考え実践していくとともに、そのための基盤的な条件を公共が整備していく、というのが基本的な役割分担となる。
ただし、中山間地域の場合、圧倒的な人口の少なさ、若者の不在、散居立地のための生活行動の不便さ、あるいは各種事業展開を行う場合の民間事業者の企業力の弱さなど、高齢者を取り巻く環境は、都市地域とは違った条件にある。
このような条件の中では公共の先導的な役割は大きいが、中山間地域の高齢者は、高い年齢まで仕事の現役者であり、また、自然と共生しながら生活をしてきた知恵や技術を有している。
これらを踏まえ、住民(高齢者)と公共の役割は、次の点がポイントと思われる。
<高齢者・住民>
? 自立・自助を基本に、住民でできること、地域の相互扶助でできることを再度見直し、自らの行動計画をつくること。
? 行政に依存することではなく、自主的な活動に対して側面支援してもらう考えにたつこと。
? 若者、女性、あるいは高齢者といった各層が自らの役割分担を認識し、住民ぐるみ、集落ぐるみでのまちづくりに取り組むこと。