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FORUM Em. Bridge '96 参考資料

 

FORUM Em. Bridge 趣意書

 

Em. Bridge とは、″目に見えないさまざまな橋″をかけるという想いをこめて造られた言葉であるが、その橋のひとつにフィランソロピーの橋がある。

現代は工業社会の成熟期、そしてそれはやがて来る筈の脱工業社会に続くと期待される。しかし、その道すじは必ずしも平易ではない。昨今しきりにいわれるパラダイムシフトという言葉は、工業社会と脱工業社会との間にしっかりした橋をかけなければならないことを示唆している。たしかに、現代社会には、政府によるあまねく平等に、をよりどころとする活動と、企業による利潤を至上目的とする活動がある。しかし、これらの活動のみでは、現代のような多元価値社会の中で弾力的に対応することは次第に難しくなってきている。

欧米特に英・米の国々では、はやくから第三のセクターである民間の非営利活動すなわちフィランソロピー(活動)が活発であり、それが社会を柔らかくする効果を大いに発揮している。一方、日本はそれが欠けている工業社会である。そこで、私達の社会がスムーズに脱工業社会になってゆくために、目に見えない橋の一つであるフィランソロピーという橋を架けることをしなければならないと考える。

現代は好むと好まざるにかかわらず、さまざまの関り合いが深まらざるを得なくなってきており、地球社会ともいうべき広がりが形成されつつある。たしかに、世界には多くの民族があり、多くの社会が営まれ、多くの国がつくられている。それぞれに歴史、文化、伝統を持ち、価値観も異なっている。ニーズも極めて多様であることは言うまでもない。しかし、各地で起こっている紛争を見てもわかるように、それぞれの間に必ずしも橋が架かっているとは言えない。

私達ひとりひとりが、良き地球市民のさきがけとなるために、どのような橋をどのように架けるべきか、自らの手でそれを見極め、そしてそれを自らの手でつくることをはじめなければならない。

このような目的意識から、毎年諸外国から学識経験豊かな、代表的な知的先覚者を招き、関連分野での日本の関係者との間で討論を行い、将来の方針を見出していく場としてFORUM Em. Bridgeを位置付けていきたいと考える。

本フォーラムが豊かな二一世紀を迎えるための、ひとつのメッセージを発信できることを期待したい。

 

日本財団 顧問  林 雄二郎

 

 

 

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