にわけて記録するとともに、油が付着した状態での重さをはかり、そして、すべての死体に「494AKT10」というように、通し番号、各府県の記号、各府県の通し番号、をふり、ダイモテープとプラスチックラベルでタグをつけていきました。
(OHP)
これが、当時の作業マニュアルです。
また、「死体台帳」を作成し、その後の移送先についてもわかるようにしました。種名で明らかに間違っているものについては直すようにしましたが、この時点で識別はしていません。
(OHP)
死体は(財)日本鳥類保護連盟が環境庁の委託を受けて、現在、それぞれ研究される方々に配分されました。そして、種の識別はもちろん、さまざまな学術研究がなされることとなっています。たとえば、僕自身に関係した部分では、小型ウミスズメ類で、つぎのような研究がなされる予定です。
(OHP)
1.外部計測による種の検討(「ウミスズメ」は本当に「ウミスズメ」か)
2.DNAによる種の判定
3.解割による性別判定(生殖器)
4.DNAによる個体群の類似性(同一地域の個体群か、いくつかの系統が見られるのか)
5.羽衣による年齢査定(アメリカのHarry Carterさんと共同)
6.油の付着状況(北大と共同)
7.栄養学的研究(山階の岡さんによる)
OBlCとして行ってきた活動は、最終的には行政が引き継いだり、個々の組織が持ち帰る形となりつつあります。そして、現在、(財)日本鳥類保護連盟の環境庁受託事業による航路調査や、日本ウミスズメ類研究会の独自事業による自然状態での海鳥漂着調査などが行われています。
事故当初、ダメージアセスメントを行う認識は、行政にもNGOにもおそらくほとんどなかったものと思われます。それが今回、アメリカの研究者の提起がきっかけで日本にもダメージアセスの考えを持ち込むことができたことは、なにはともあれ、今後の海鳥保護の面でよかったことと思います。その一方で、OBICの組織がもともと寄せ集め的なものだっただけに、放っておけば自然消滅しかねないなど、運営面での課題がいくつか残されることとなりました。また、OBICのこれまでの活動が正当に評価されず、さまざまなフィルターを通して見られたりしていることはとても残念なことです。問題があったらどうすればよくなるか考えればいいものを、それが中傷に変わったり、「出る釘は打たれよ」とばかりに、つぶす方向に動いたりもします。
次回、もしこのような事故がおきた場合、誰がどのように動くでしょうか、また、動いてくれるでしょうか。人や組織を育てるのは、それ自身です。
鳥のことだけではなく、我々が学ぶべきことはまだまだ多いことと思います。
※掲載にあたって、OHPは省いた。