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巣している。冠島は、若狭湾内の、京都府舞鶴市に属する無人島で、南北約1.2km,東西約0.5kmある。全島はほぼ森林で覆われ、オオミズナギドリの巣穴が、いたるところに開いている。巣穴は、ほぼ水平に1mから2mもの深さがあり、産座の部分は少し広くなっている。巣穴の密度は、吉田(1962)によると100m2当り約60巣、須川・百瀬(1983)では100m2当り約80〜100巣である。戦前の調査(丹,1956)では、正確な密度は記録されていないが、全島にくまなく1m2当り約1巣の巣穴が分布しているといった記述から、少なくとも半世紀にわたって巣密度に大きな変化はおこってないことがうかがえる。

 

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・冠島の巣の総数の推定

冠鳥には100m2の区面が約2000あると考えている。吉田(1962)の100m2当り約60巣の巣密度を採用すると、60×2,000主120,000(12万巣)となる。

 

・日周行動

オオミズナギドリは、昼間は、地表には全く姿をみせず、また付近の海上にもあまり姿をみせないが、夕方になるとともに島の付近に多数帰って来て付近の海面に集結して休息し、その後、逆時計まわりに鳥をまわる。日没後になると、島をまわっていた祥れは一斉に群れを作って上昇し、島に向かって来る。オオミズナギドリは細かく方向転換して飛ぶことはできず、着地は、樹冠にぶつかって鳥が降って来るという感じになる。ただちに巣穴に入る個体も多いか、地表で過ごす個体もいる。夜明け近くになると、特定の場所への移動が始まる。オオミズナギドリは海上や平地からは充分な助走の後に飛び立つことができるが、森林の地上から

 

 

 

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