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 年もかかる環境再生につなげていくために、必要不可欠です。

 一般には鳥の救護に重点が置かれることが多いのですが、海鳥に関わる者として私たちがしなければならないのは、「どうしたら元にもどせるか」です。長期的な視点で考えていかなければなりません。

 

4.今回の油流出事故で影響が懸念される繁殖地について

 油の流出により、直接的な被害が懸念されるのは、石川県七つ島と、京都府冠島、沓島です。

 石川県七つ島はカンムリウミスズメの繁殖地の北限として知られています。また、京都府冠島北にある沓鳥もカンムリウミスズメの繁殖が確認されています。冠島自身はオオミズナギドリの繁殖地として有名です。

 この2つの鳥でのカンムリウミスズメの繁殖個体数は、よくわかっていません。

 研究会では、今回の事故に伴い、早急に繁殖現状調査を行うよう、環境庁に要請しました。環境庁では2月より毎月、石川県七つ島で現状調査を行う旨の発言がありました。

 これらの島以外に、日本海側ではカンムリウミスズメの繁殖地として、福岡県小屋島、鳥帽子島、机島、韓国全羅南道九屈島が知られ、ウミスズメの繁殖の可能性のある島として山形県飛島が知られています。また、北海道天売島は、ウトウやケイマフリなどの繁殖地として有名です。事故が長期化すれば、こうした繁殖地の個体群にも影響を及ぼすことが懸念され、研究会では今年度以降も継続して繁殖現状調査を行っていく方針です。

 

5.研究会の活動費について

 研究会の通常の手持ち資金は、わずか10数万円です。にもかかわらず、今回、このような活動ができたのは、さる方からの高額なご寄付によるものです。紙上を借りて、改めてお礼申し上げます。

 研究会のこれまでの活動については、OBICの活動と一致していますので、一部はOBICの募金のなかで補われることかと思います。これは、日本野鳥の会のほうで募金を集めています。(口座名義:日本野鳥の会OBIC募金、郵便振替番号:00130 7 350734)

 しかしながら、今後、研究会独自の活動が生じた場合、会の手持ち資金で賄わなければなりません。

 研究会では、今回のご寄付を「海鳥研究・保護基金」として積み上げ、今後の幅広い活動の費用として使っていきたいと考えています。よろしくご協力下さい。

 まだ口座は開いていませんが、従来の口座(口座名・日本ウミスズメ類研究会、口座番号00170-1-580492)の通信欄に、「海鳥研究・保護基金」と明記していただければ、基金分として活用いたします。基金の会計については、すべて会報上で報告いたします。

 また、今回の事故で、実際の海鳥の救護にあたっている獣医師団体、野生動物救護獣医師協会(WRV)があります。WRVでは、ウトナイ湖に保護・放鳥のための施設を作ったりもしており、いわば今回の事故の”最前線”で活躍しています。こちらの募金先は(口座名・97油汚染生物救援募金、口座番号00120-2-350855)です。

 

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ロシアの研究者より、つぎのような共同研究申し入れが届いています。

 

 

 

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