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・Roger Helm、Harry Carter帰国。空港まで見送る。

 

23日(木)

・調査方法について、まとめる(OBICからの発信文書原案)。

・「死体の重要性とお願い」という文書、原案作成(環境庁、OBICからの発信文書原案)

 

2.これまでの発信文書

 

海鳥被害調査についての重要性とお願い

1997年 (平成9年)1月15日

日本ウミスズメ類研究会

(代表・青山莞爾)

Pacific Seabird Group日本海鳥保護委員会

(代表・小野宏治、John Fries)

 

 油流出事故は、漁業資源のみならず、海洋環境に多大な影響を与えます。漁業への被害は、経済活動と密接に連携しているために最も注目される部分です。つぎに、海岸の景観については、各自治体により、重油の回収を含む措置がとられることと思います。

 これらの問題に比べ、海鳥への被害は、ニュース素材のひとつとして扱われる程度で、実際にその被害規模などを推定した例は、日本ではほとんどありません。

 海鳥は、プランクトンから魚にいたるまで幅広い栄養段階の食物を摂取し、採餌場所も沿岸から沖合いまでと、海洋生態系の中では主要な位置を占めています。したがって、被害の規模や海洋生態系への影響、そして、その後の環境回復のための賠償問題を検討する上で、非常に重要な存在です。

 

 我々が海鳥のためにまずしなければならないことは救急の医療体制ですが、つぎにしなければならないことは今回の事故の正確な記録を残すことです。鳥の種類、数、場所、状態などを正確かつ確実に記録することが、事故の規模を推定するためにきわめて重要です。事故に遭った海鳥の中には世界的に絶減に瀕している海鳥も含まれており、今後の環境再生に向けて、我々は努力しなければなりません。

 現在、おもに漁業関係者の手により海岸での重油の回収作業が行われていますが、そうした際、重油の付着した海鳥の死体は、そのまま焼却処分される可能性が高いと思われます。そのため、事故の規模が過小評価される可能性が生じています。

 関係各機関は、死体の収集につとめるとともに、地元の鳥関係者を通じて詳細な記録を残すことができるよう、回収作業に従事している人々に連絡徹底のほどお願いいたします。

 平成7年12月15日、油汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画が閣議決定されました。このなかで「環境庁及び水産庁は、海上保安庁その他の関係行政機関、関係地方公共団体等からの情報に基づき、当該油汚染事件が野生生物及び漁業資源に及ぼす影響の評価を行い、これを、野生生物の保護、漁場等の保全等の対策の決定に反映させるとともに、その他の対策の実施に資するよう、速やかに海上保安庁その他の関係行政機関等に提供する。」(第4節 油汚染事件の評価)と明記されており、正確な影響評価のために、関係各機関が尽力されるよう、お願いいたします。

 

 

 

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