小野宏治
3 現地での対策は、それぞれの県が対策本部を組織して対処することになりそうです。上記の獣医師会の現地在住のメンバー(大勢ではない)や、野鳥保護の関係者もその傘下で動くことになりそうですが、詳細はまだこちらにきていません。鳥獣の被害報告もきていません。
野生生物の被害に関しては、どこかが一元管理しなければ、被害の規模もあいまいになってしまいますし、被害から救うやり方も必ずしも最良ではない方法が採られて被害を大きくしてしまう可能性もあります。
海鳥に関しては、我々の委員会がお役に立てることと思いますので、もしそうした問い合わせがあった場合は、お知らせいただければ幸いです。
*今入った情報だと、沈没船の船首部分が福井県の越前松島付近に座礁した由です。付近にはウミネコなどのカモメ類はかなりいるそうですが、海上は波高数メートルの大時化で、防除措置は何もとれなそうとのことです。
4 環境庁としては、当面は関係県、他の中央省庁(海上保安庁、農水省など)との連絡をとって情報のとりもちに努めるといったところのようです。外国から応援を呼ぶことは、今のところは考えていないようでした。
今回の事故は、
1.日本海の沖で起き、沿岸の鳥ばかりでなく沖で生息している鳥にも影響が出ること、
2.重油の量が多いこと、
3.越冬期にあたり多くの海鳥が日本海に入っていること、
4.船体の主要部分が沈没し、長期にわたって環境への影響が出る可能性があること、
5.日本海側の海鳥の繁殖地を直撃していること(若狭湾の冠島など)、
などから、かなり深刻な事態になるものと思われます。
海外の研究者たちも非常に心配しています。
本来なら環境庁がイニシアチブをとり、積極的に対応して行くべき問題であり、マスコミや関係機関を通じて世間に広く訴えていく必要があると思います。アラスカ沖の事故や湾岸戦争の際はあれほど報じたにも関わらず、自分の国で起きている問題をきちんと理解できない日本人には、あきれるばかりです。
連盟の方々も全国の活動でいろいろお忙しいこととは思いますが、関係機関への応対や、情報のとりまとめなどに今後ともご尽力下さいますよう、お願いいたします。
Pacific Seabird Group日本海鳥保護委員会 委員長 小野宏治
OBIC-6(1997年1月8日13時05分発信)
0iled Bird lnformation Committeの皆様
2 当連盟では、たまたま環境庁からの委託事業でこのようなケースでの野生鳥獣の被害に関する救護マニュアル作成等を、野生動物救護獣医師協会とジョイントで行っているところです。ちょうど原稿(主に海外文献の翻訳でまだ全部はできていない)ができたばかりのところでしたので、環境庁と連絡のうえ、そのコピーを関係県の担当部局に送ったりしているところです。
コピーをお願いしたところ、連盟の方より電話があり、委託事業なので、環境庁の了解が必要と