日本財団 図書館


鳥学会自由集会に参加して

高橋貞―(北海道旭川市)

 

 一月に起きたナホトカ号重油流出事故による海鳥の被害は記憶に新しいことです。雑誌BIRDER 8月号より連載され、その概要は大方理解できるのですが、それに携わった人々の実情と課題を生の声で聞きたい一心で、新潟の集会に参加してみました。

 参加者は被害地域の方、全国各地の鳥関係者、発表者は北大・綿貫豊、鴨池観察館の大畑孝二、冠島(丹後半島西)調査研の須川恒の諸氏三名。若い活動家らしい方々が大部分で、環境庁関係の施設に務めている方も含め総数40から50名ほどが集まりました(当日は、他に四つの分科会)。

 綿貫氏の演題は、エクソン・バルデイーズ号事故を例に掲げて、油汚染の海鳥への影響評価と対策についてでした。

 海鳥の減る原因を、漁網被害や油汚染などの人為的なものと、特定の魚の増減・ネコなど他の鳥獣によるものと説明。被害を受けても、時期や場所、被害の程度などがつかみにくいことをあげられました。そして、繁殖個体群の回復の難しさ、生態系保全を念頭においたモニタリングの必要性を、外国の資料をもとに話されました。

 元ウトナイ・サンクチュアリにおられた大畑氏からは、油汚染の生々しい海鳥の様子や、ウトナイに空輸されリハビリするウミスズメなどについて、スライドを使った説明がありました。

 石川県では、日頃、傷病鳥獣委託獣医や県の保護課、野鳥の会とパトロールに関わっていた自治体職員や自衛隊隊員との連携により、スムーズに救護体制ができたこと。区域がわりと限られていることが幸いだったとしている。しかし、数万人にのぼるボランテイアの方々の油除去作業(4月)は、シロチドリの営巣地と重なり、被害鳥の救助や数などの確認が難しかったとしている。

 最後に、京都府・日本海沿岸の事故と対応について、須川氏から講演がありました。

 どのような調査、救護活動をすれば良いか手さぐりの状態で、場所や状況を掴みがたかったものの、海岸線を十数キロずつに等分し、被害を受けた海鳥をその被害の程度によって三段階に分け、被害調査シートに記録。その結果、場所も数の把握も容易になったそうです。苦労したこととして、活動家が日本海側に少なく、連絡や集計に時間的なロス、距離的な困難を伴ったことをあげていました。

 全体討議の中では、北海道海鳥センター(環境庁・羽幌町)の方から死体回収がうまく

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION